犬ハンセン病様肉芽腫
概要
耳と顔面に硬い結節を形成する抗酸菌性皮膚疾患で、短毛種に最も多く見られます。
主な症状
原因
皮膚バリア機能の破綻と局所微小環境の変化が発症の基盤にある。感染(細菌・真菌・寄生虫)、アレルギー反応、自己免疫疾患、内分泌異常による被毛・皮膚の変化、栄養欠乏、物理的刺激(摩擦、持続的湿潤)、環境アレルゲンへの曝露が原因となる。皮膚の常在菌叢バランスの破綻や免疫防御の低下が二次感染のリスクを高める。
病態生理
皮膚疾患の病態生理は表皮バリア機能の障害と免疫応答の異常に基づく。アトピー性皮膚炎ではフィラグリン変異等による表皮バリア破綻がアレルゲン侵入を容易にし、Th2偏向の免疫応答が炎症を持続させる。IgE架橋によるマスト細胞脱顆粒がヒスタミン放出と即時型反応を誘導する。細菌性皮膚炎では常在菌(特にStaphylococcus)の過増殖と毒素産生により膿疱・紅斑が形成される。
治療
Mycobacterium属(M. lepraemurium類似菌)による皮膚肉芽腫。治療: 抗菌薬併用療法(3-6ヶ月間 — 長期必須): クラリスロマイシン10-15 mg/kg PO q12h + リファンピシン10-15 mg/kg PO q24h。 代替: ドキシサイクリン5-10 mg/kg PO q12h + リファンピシン。 外科的切除: 限局性の単発病変に有効。マージン確保。 自然治癒: 免疫能正常な犬では数ヶ月で自然退縮する場合あり。 経過観察のみの選択肢も提示可能(単発・小型病変)。診断: FNA/皮膚生検: 肉芽腫性炎症 + 抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen)陽性。 PCR: Mycobacterium属の同定。培養は困難(特殊培地/長期間必要)。臨床的特徴: 耳介・鼻・四肢の皮膚結節(無痛性)。潰瘍化することあり。好発: 大型短毛犬種(ボクサー、ドーベルマン、マスティフ)。鑑別: 皮膚糸状菌肉芽腫、異物肉芽腫、皮膚腫瘍、皮膚リーシュマニア症。予後: 良好。治療反応率高い。免疫抑制動物では再発リスク。
予防
適切なスキンケア(定期的なブラッシング・シャンプー療法)、ノミ・ダニの予防、アレルゲン曝露の最小化が基本的予防策である。バランスの取れた食事(必須脂肪酸・ビタミン含有)による皮膚バリア機能の維持が重要である。アトピー素因を持つ個体では環境アレルゲンの管理と早期の減感作療法が慢性化予防に有効である。皮膚の異常は早期に獣医師の診察を受けることが推奨される。
予後
予後は原疾患により大きく異なる。感染性皮膚疾患の多くは適切な治療により完治が期待できる。アレルギー性皮膚炎は完治困難であるが、アレルゲン回避・薬物療法・免疫療法の組み合わせにより良好な管理が可能である。自己免疫性皮膚疾患では長期の免疫抑制療法が必要となる。皮膚腫瘍の予後は組織学的な悪性度と完全切除の可否に依存する。
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