皮膚組織球腫
概要
若い犬に多く見られる良性皮膚腫瘍で、円形の隆起した無毛の腫瘤として現れます。
主な症状
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臨床徴候
犬における皮膚組織球腫の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
原因不明。3歳未満の若齢犬に好発(特にボクサー、ダックスフンド、コッカースパニエル、グレートデーン)。ウイルス関与説あるが未確定。
病態生理
ランゲルハンス細胞(皮膚樹状細胞)由来の良性腫瘍。急速に増大(数週間)→免疫系によるT細胞浸潤→1〜3ヶ月で自然退縮。頭部・耳介・四肢に好発。多発例は悪性の可能性を検討。
診断
若齢犬(<3歳)の急速成長する単発性の赤色半球状結節(button tumor)。FNA: 均一な円形細胞、楕円形核、淡い細胞質。免疫組織化学: CD18+/CD1a+/MHC II+。ランゲルハンス細胞由来の良性腫瘍。4-8週で自然退縮(T細胞介在性免疫応答)。鑑別: 肥満細胞腫(メタクロマジー顆粒)、リンパ腫(CD3/CD79a)、形質細胞腫。頭部、耳介、四肢に好発。多発性の場合は免疫異常を検索。
治療
【犬における皮膚組織球腫】 皮膚組織球腫は皮膚生検(パンチまたはincisional)、細胞診(インプレッションスメア、テープストリッピング)、培養で原因を特定。 感染性: 培養感受性ベースの全身抗菌薬・抗真菌薬(前述の方針)。 アレルギー性: 食物アレルギー除外食試験(8週hydrolyzed蛋白食)、環境アレルゲン特異IgE。シクロスポリン 5-7 mg/kg PO q24h、オクラシチニブ(犬専用)。 外用ケア: 抗菌・抗真菌シャンプー q3-7日、湿潤環境改善。 自傷防止のエリザベスカラー、慢性掻痒には認知行動的アプローチも併用。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。
予防
予防法はない。通常自然退縮するため経過観察。2〜3ヶ月で退縮しない場合や多発例は生検で悪性腫瘍との鑑別が必要。
予後
犬における皮膚組織球腫は良性腫瘍で、外科的完全切除により治癒が期待でき予後は良好。切除困難な部位・高齢・基礎疾患で麻酔リスクが高い場合は経過観察も選択肢となる。不完全切除では局所再発がありうるため切除マージンの病理評価が望ましい。急速な増大・出血・潰瘍化を認める場合は悪性転化を疑い再評価する。
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