放線菌症
概要
穿通創から慢性的な排膿管と膿瘍を形成する細菌感染症です。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
原因
犬の放線菌症/ノカルジア症はフィラメント状細菌 Actinomyces/Nocardia の感染による。口腔常在菌の創傷・咬傷からの侵入(放線菌)や、土壌由来菌の経気道・経皮感染(ノカルジア)で発症する。
病態生理
これらの菌は膿瘍・肉芽腫・化膿性胸膜炎(膿胸)を形成し、硫黄顆粒を伴う排膿性の瘻管をつくる。緩徐に進行し、長期の抗菌薬治療を要する。
治療
放線菌症(Actinomyces spp.)。嫌気性グラム陽性桿菌の深部組織感染。感染経路: 外傷(草の芒など植物異物の刺入が最多 — 猟犬・アウトドア犬)、 歯周病(口腔内常在菌 — 歯根膿瘍から波及)、咬傷。臨床像: 皮下膿瘍、瘻管形成(排膿不良 — 治療抵抗性の draining tract)。 胸腔(膿胸)、腹腔(腹膜炎)、骨(骨髄炎)に波及。 sulfur granules(硫黄顆粒 — 黄白色の小結節)が排液中に見られることあり。診断: 細胞診: 硫黄顆粒 + フィラメント状グラム陽性菌。 嫌気性培養(長期培養7-14日必要 — 通常培養では検出不能)。 組織生検: 化膿性肉芽腫性炎症 + 放線菌コロニー(PAS/GMS染色)。 画像: CT/MRI(深部病変の範囲評価)、胸部X線(膿胸評価)。治療(長期抗菌薬 + 外科的ドレナージが原則): 第一選択: アモキシシリン・クラブラン酸20-25 mg/kg PO q12h × 最低6-12週。 代替: アンピシリン22 mg/kg IV q8h(入院初期)→ 経口切替。 重症: ペニシリンG 22,000-40,000 IU/kg IV q6h × 2-4週 → アモキシシリン長期経口。 クリンダマイシン11 mg/kg PO q12h(ペニシリンアレルギー時)。 Nocardia混合感染: TMS 15-30 mg/kg PO q12h追加(好気性放線菌との鑑別重要)。外科: 膿瘍ドレナージ、異物除去(植物芒の完全除去が再発予防の鍵)、瘻管切除。 膿胸: 胸腔ドレーン留置 + 洗浄。予後: 適切な長期抗菌薬(3-6ヶ月)+ 異物除去で良好。深部感染・骨髄炎では長期化。
予防
犬における放線菌症の予防は感染源との接触回避と環境管理が中心。皮膚糸状菌症: 感染動物・汚染環境(グルーミング用品・カーペット・寝具)との接触回避、新規導入動物のWood lamp検査と培養スクリーニング。深在性真菌症: 流行地での過剰な土壌粉塵曝露回避(猟犬・農用動物)、地理的リスク評価。カンジダ/マラセチアの日和見感染予防には基礎疾患(内分泌異常・免疫抑制)の適切な管理と長期抗菌薬使用の慎重な評価が重要。
予後
犬における放線菌症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。