猫の乗り物酔い(動揺病)
概要
移動によって誘発される悪心・過流涎・嘔吐で、前庭系を介して起こる。猫では移動やキャリーに対する恐怖・ストレスが主体となることが多く、嘔吐と同程度に不安徴候(落ち着かない・鳴く・流涎・不適切排泄)が目立つ。キャリーや車移動に慣れていない猫で多い。
主な症状
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原因
車移動による前庭刺激に、キャリーや車に慣れていない猫の恐怖・ストレスが加わる。関与因子:キャリーへの馴化不足、換気不良・車内高温、満腹での移動。
病態生理
車両の動きによる前庭入力が前庭核と化学受容器引金帯(NK1・サブスタンスP、ヒスタミン経路)を介して嘔吐中枢に達する。猫ではキャリー・保定・車に対する条件づけられた恐怖・ストレス成分が大きく自律神経症状を増強するため、不安と動揺病が密接に絡み合う。
治療
(1)キャリー馴化とストレス軽減が中心:キャリーを普段から出して安心できる休息場所にする、食事・おやつで肯定的関連づけを作る、移動15分前に合成フェイシャルフェロモン(フェリウェイ)を噴霧する。(2)ガバペンチン10〜20 mg/kg PO(一般に50〜100 mg/頭)を移動の約1.5〜3時間前に投与すると移動関連の恐怖・ストレスと随伴症状が軽減する。(3)嘔吐にはマロピタント(セレニア)1 mg/kg PO/SC——猫の用量は1 mg/kgで、犬の動揺病用量よりはるかに低い点に注意。(4)ジフェンヒドラミン2〜4 mg/kg PO を代替の制吐・鎮静薬として。(5)キャリーを覆って固定し、車内を涼しく換気良好に保ち、軽い胃内容で移動する。
予防
子猫・成猫を早期にキャリーと短く肯定的な車移動に慣らす;自宅でキャリーを常に利用できるようにする;フェロモン製剤を活用する;涼しく換気の良い固定したキャリーで軽い胃内容で移動する。
予後
良好。多くの猫はキャリー馴化と移動前ガバペンチンで著明に改善し、マロピタントで嘔吐を抑制できる。早期に肯定的なキャリー関連づけを確立すると長期的な結果が最も良い。
関連する薬品
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