メガバクテリア症(AGY・マクロラブダス症)
概要
インコにおける真菌性の消化器系疾患。メガバクテリア症(AGY)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
インコにおけるメガバクテリア症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
インコのマクロラブダス症(旧称メガバクテリア症・鳥胃酵母症)は酵母様真菌 Macrorhabdus ornithogaster の感染による。糞口感染で伝播し、セキセイインコ・フィンチで多い。
病態生理
メガバクテリア症(インコ)はM. ornithogaster(酵母)の筋胃定着→胃潰瘍→消化障害→体重減少(going light)。セキセイインコで特に問題。臨床症状の重症度と全身状態を総合的に評価し、支持療法と原因に対する特異的治療を組み合わせる。定期的な再評価により治療反応を確認し、必要に応じて治療計画の修正を行う。飼育環境の最適化と栄養管理が回復の促進に重要な役割を果たす。
診断
糞便のグラム染色でMacrorhabdus ornithogaster(巨大グラム陽性桿菌)を直接鏡検。未消化種子の排泄・嘔吐・体重減少の病歴を聴取。キール骨触診で削痩を評価し体重を精密測定。血液生化学でAST上昇・低蛋白血症を確認。X線で腺胃拡張(前胃拡張)・砂嚢壁菲薄化を評価。必要時、腺胃粘膜生検でPAS染色陽性の酵母様菌体を確認し確定診断。PDD(前胃拡張症)との鑑別にはABV-PCRを実施。
治療
アムホテリシンB 100 mg/kg PO q12h 30日間 — 第一選択抗真菌薬(マクロラブダス・オルニソガスターは'メガバクテリア'の名にもかかわらず酵母菌)。本菌は前胃と筋胃の峡部に定着。代替: ナイスタチンは無効(マクロラブダスは耐性)。飲水への安息香酸ナトリウム酸性化(水100 mLにリンゴ酢1 mL)で前胃pHを低下—本菌はアルカリ性環境で増殖。食餌改善: 酵母増殖を促進する単糖・炭水化物を減少、ペレット食に転換。支持療法: 脱水に加温皮下輸液50-100 mL/kg/日、重度体重減少にそ嚢チューブ給餌、保温28-30°C。メロキシカム0.5-1 mg/kg PO q12-24hで前胃痛管理。治療期間最低30日—糞便グラム染色を2週・4週・治療終了時に再検査。再発が多く、一部の鳥は生涯にわたる間欠的治療が必要。同居鳥のスクリーニング・治療。キャリア鳥は糞便中に菌を排出。参考: Phalen DN (2014) Vet Clin North Am Exot Anim Pract; Tomaszewski EK et al. (2003) J Clin Microbiol.
予防
インコにおけるメガバクテリア症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
インコにおけるメガバクテリア症(AGY)の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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