鳥ボルナウイルス(PDD)- インコ
概要
鳥ボルナウイルスによるインコの腺胃拡張症で、進行性の消化管・神経機能障害を引き起こす。
主な症状
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臨床徴候
インコにおける前胃拡張症(PDD)の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
インコの前胃拡張症(PDD)は鳥ボルナウイルス(avian bornavirus / Parrot bornavirus, PaBV)感染が主因で、糞・尿を介した水平感染が想定される。コニュアやヨウム・ボウシインコなど大型インコに多い。
病態生理
鳥ボルナウイルス(PDD)- インコは鳥ボルナウイルス(ABV)感染による。ウイルスは消化管および中枢・末梢神経系の神経節に親和性を持ち、リンパ形質細胞性の神経節炎(特に前胃・筋胃の自律神経叢)を引き起こす。腸管平滑筋の運動障害により前胃拡張・消化管うっ滞・削痩を生じ、中枢神経の病変では運動失調・振戦・痙攣など進行性の神経症状を呈する。
診断
慢性嘔吐・未消化便排泄・体重減少・神経症状(運動失調・痙攣)が特徴的臨床像。X線で前胃(腺胃)の著明拡張を確認(セキセイで前胃径>体幅の50%は異常)。造影X線(バリウム)で消化管通過時間の遅延を評価。血液・クロアカスワブからABV(トリボルナウイルス)RT-PCRで確定診断。血清学(ELISA/IFA)でABV抗体を検出。そのう生検の病理組織検査でリンパ球性神経節炎を確認(確定診断のゴールドスタンダード)。CBC・生化学でAST上昇・低蛋白血症・CK上昇を確認。
治療
【インコにおける鳥ボルナウイルス(PDD)- インコ】 鳥ボルナウイルス(PDD)- インコに対する特異的抗ウイルス療法はほとんどの症例で確立されておらず、治療は支持療法と二次感染予防が中心。 二次性細菌感染予防: エンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h(培養感受性で再選択)。 感染個体は隔離(PCR陰性化まで)し、ケージ用具は次亜塩素酸1:10で消毒。 ワクチン未開発の疾患が多く、群管理では新規導入個体の検疫(最低30-45日)が予防の要。 支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によってはインコの専門医紹介を考慮する。
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予防
インコにおける前胃拡張症(PDD)の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
ウイルスの種類と宿主免疫により異なる。軽症感染は支持療法で自然治癒することが多い。重症全身性ウイルス感染は予後要注意〜不良。
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