鼻孔狭窄
概要
短頭種で鼻孔が異常に狭く気流を制限する疾患です。
主な症状
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臨床徴候
犬における鼻孔狭窄の臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
犬における鼻孔狭窄の原因は胚発生期の遺伝子変異または染色体異常である。遺伝様式は多様(常染色体優性・劣性、X連鎖、多因子遺伝)で、子宮内環境の異常、母体の感染症・薬物曝露・栄養欠乏も胎児器官形成に影響する。近交係数の高い純血種・特定の閉鎖個体群で発生頻度が高い。繁殖前の遺伝子検査と保因者除外プログラムが集団レベルでの発生抑制に重要。
病態生理
鼻孔狭窄は短頭種気道症候群(BOAS)の一構成要素で、鼻翼軟骨の先天的内方変位により鼻孔が著しく狭窄する。パグ、フレンチブルドッグ、ブルドッグ、ボストンテリアに典型的。吸気時努力呼吸・スターター音・運動不耐性・チアノーゼを呈する。外科的矯正としてalar fold wedge resectionまたはvestibuloplastyを実施し、6ヶ月齢以降の早期手術が二次的な喉頭虚脱の予防に有効。
診断
鼻孔狭窄の診断は外鼻孔の視診が最も簡便で確実。翼状軟骨の内方変位により鼻孔が著明に狭小化。吸気時に鼻翼が内方に引き込まれる所見。重症度は軽度(吸気時のみ狭窄)〜重度(安静時から閉塞)に分類。CT検査で鼻腔内の二次的変化(鼻甲介の肥厚、粘膜浮腫)を評価。短頭種気道症候群(BOAS)の一要素として、軟口蓋過長、喉頭小嚢外転、気管低形成も同時評価。パルスオキシメトリーで安静時・運動負荷後のSpO2を測定。鑑別:鼻腔内異物、鼻腔腫瘍、鼻炎。好発犬種:パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、ボストン・テリア。
治療
外科的矯正が唯一の治療法。alar fold切除(wedge resection — 鼻翼の楔状切除)またはvestibuloplasty(鼻前庭形成術)で鼻孔を拡大。短頭種気道症候群(BAS)の一部として、軟口蓋過長切除・喉頭小嚢切除と同時手術が推奨される。若齢(6ヶ月-1歳)での早期手術により、慢性的な陰圧性気道障害(喉頭虚脱・気管虚脱への進行)を予防。術後は鼻腔ステント不要で、術創は一次治癒する。好発:パグ、イングリッシュブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズ。体重管理と暑熱回避も呼吸状態改善に重要。
予防
犬における鼻孔狭窄の予防は原因病態の理解に基づく個別的アプローチが基本となる。適切な飼育環境(温度・湿度・衛生)、種特異的な栄養管理、ストレス低減、定期的健康診断による早期発見が共通する予防策。既知の誘因の回避と適切な医学的介入により多くの場合発症リスクを低減可能。
予後
犬における鼻孔狭窄の予後は基礎病態・治療時期・併存疾患により異なる。早期診断と適切な治療介入により多くの症例で良好な予後が期待される。継続的なモニタリングと飼育環境管理が長期予後改善に重要である。重症例・進行例・基礎疾患合併例では予後が悪化することがある。
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