軟部組織肉腫
概要
皮下の結合組織から発生する局所浸潤性の腫瘍群です。
主な症状
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原因
犬における軟部組織肉腫の発生には複数要因が複合的に関与する。遺伝的素因(品種特異的好発性)、慢性炎症の持続、発癌性ウイルス感染(FeLV関連リンパ腫等の特異的例を除く)、化学発癌物質への長期曝露、ホルモン異常(性ホルモン依存性腫瘍)、免疫監視機構の破綻、紫外線・電離放射線曝露が主要因子。加齢に伴うDNA修復能低下と細胞増殖制御異常が促進因子となる。早期発見と病期診断(TNM分類)が予後改善と治療選択の基盤である。
病態生理
犬における軟部組織肉腫の病態生理は正常細胞の悪性転換から始まる。癌遺伝子(c-Myc, Ras等)の活性化と癌抑制遺伝子(p53, Rb等)の不活化により、細胞増殖シグナルの恒常的活性化、アポトーシス回避、血管新生誘導、浸潤・転移能の獲得が段階的に進行する。腫瘍微小環境では免疫逃避機構が構築され、腫瘍関連マクロファージや制御性T細胞が抗腫瘍免疫を抑制する。進行例では悪液質、傍腫瘍症候群(高Ca血症・低血糖等)、全身合併症を引き起こす。
治療
広範囲外科切除(3cmマージン+1筋膜面deep)が標準。不完全切除は放射線療法(術後 — 局所再発率を50%→15%に低減)。高グレード(Grade III):化学療法(ドキソルビシン30 mg/m² q3週、またはメトロノミックシクロホスファミド10-15 mg/m² PO q24h)。トセラニブ(パラディア)不応例に。MRI/CTで術前計画。好発:大型犬の四肢・体幹。
予防
犬における軟部組織肉腫の予防には、ホルモン依存性腫瘍に対する早期避妊去勢手術(乳腺腫瘍・前立腺癌・精巣腫瘍・子宮腺癌・肛門腺癌等)が確立された予防策。発癌性物質への曝露回避(タバコの煙・農薬・タール・特定の合成樹脂)、適正体重維持、抗酸化物質を含むバランスの取れた食事、紫外線過剰曝露の回避が予防に寄与する。定期的健康診断(触診・画像診断・血液検査)による早期発見が最も実効性ある予防策。発癌性ウイルス予防(FeLV ワクチン)も重要。
予後
犬における軟部組織肉腫は間葉系悪性腫瘍で、局所浸潤性が高く広範切除でも局所再発しやすい。組織学的グレードと切除マージンが予後を左右し、不完全切除例では放射線療法の追加が再発抑制に有効。高悪性度・転移例(特に血管肉腫)は予後不良で、化学療法の併用を検討する。
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