鼻腔アスペルギルス症
概要
鼻腔と副鼻腔の真菌感染で、破壊性鼻炎と大量の鼻汁を引き起こします。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
原因
A. fumigatus(最多)。長頭種(ジャーマンシェパード・ゴールデン・ラブラドール)に好発。中年犬。免疫正常犬に発症(播種型は免疫不全犬)。一側性の慢性鼻汁で鑑別に挙げる。CT+鼻腔内視鏡で真菌プラークを確認。
病態生理
Aspergillus fumigatusの鼻腔内定着→真菌プラーク形成→鼻甲介の進行性破壊→一側性→両側性の粘液膿性〜血性鼻汁。鼻鏡の色素脱失が特徴的所見。篩骨板への浸潤は稀だが起こりうる。免疫正常犬にも発症する(播種型アスペルギルスとは異なる)。
治療
犬アスペルギルス症: ① 病型—鼻腔型(最多、ドリコセファリック種好発)、播種型(免疫抑制例、A. terreus)。② 確定: 鼻腔内視鏡+鼻腔粘膜生検+培養、PCR、galactomannan ELISA、CT/MRI。③ 鼻腔型治療: 経鼻クロトリマゾール 1% 50-60 mL × 60分 注入(全身麻酔下)、1-2回で奏効率70-80%。④ 全身治療: イトラコナゾール 5-10 mg/kg PO q12-24h × 4-12週、voriconazole 4-5 mg/kg PO q12h(耐性例)、肝酵素モニタ。⑤ 播種型(重症): amphotericin B+ posaconazole 経口、長期治療、予後不良。⑥ 鼻孔潰瘍管理、二次感染予防。AAHA Infectious Disease Guidelines。
予防
確実な予防法はない。局所抗真菌療法(鼻腔内クロトリマゾール灌流)が第一選択(治癒率85〜90%)。全身投与のイトラコナゾール単独は効果不十分。
予後
犬における鼻腔アスペルギルス症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。