鼻腔アスペルギルス症
概要
鼻腔と副鼻腔の真菌感染で、破壊性鼻炎と大量の鼻汁を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬における鼻腔アスペルギルス症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。 皮膚病変(円形脱毛・落屑・痂皮)、慢性鼻汁、または深在性真菌症では咳・体重減少・神経症状が見られる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
A. fumigatus(最多)。長頭種(ジャーマンシェパード・ゴールデン・ラブラドール)に好発。中年犬。免疫正常犬に発症(播種型は免疫不全犬)。一側性の慢性鼻汁で鑑別に挙げる。CT+鼻腔内視鏡で真菌プラークを確認。
病態生理
Aspergillus fumigatusの鼻腔内定着→真菌プラーク形成→鼻甲介の進行性破壊→一側性→両側性の粘液膿性〜血性鼻汁。鼻鏡の色素脱失が特徴的所見。篩骨板への浸潤は稀だが起こりうる。免疫正常犬にも発症する(播種型アスペルギルスとは異なる)。
診断
鼻腔内視鏡で白色~緑色の真菌プラーク(fungal plaques)を直接確認。壊死性の鼻甲介破壊。CT/MRIで鼻甲介の骨溶解・篩板の状態を評価。篩板破壊→頭蓋内進展のリスク。血清Aspergillus抗体価上昇(AGID/ELISA: 感度60-90%)。鼻腔スワブ/生検の培養。PCRでAspergillus属を同定。鼻出血・慢性膿性鼻汁・鼻鏡色素脱失の臨床症状。局所クロトリマゾール注入が第一選択。
治療
犬アスペルギルス症: ① 病型—鼻腔型(最多、ドリコセファリック種好発)、播種型(免疫抑制例、A. terreus)。② 確定: 鼻腔内視鏡+鼻腔粘膜生検+培養、PCR、galactomannan ELISA、CT/MRI。③ 鼻腔型治療: 経鼻クロトリマゾール 1% 50-60 mL × 60分 注入(全身麻酔下)、1-2回で奏効率70-80%。④ 全身治療: イトラコナゾール 5-10 mg/kg PO q12-24h × 4-12週、voriconazole 4-5 mg/kg PO q12h(耐性例)、肝酵素モニタ。⑤ 播種型(重症): amphotericin B+ posaconazole 経口、長期治療、予後不良。⑥ 鼻孔潰瘍管理、二次感染予防。AAHA Infectious Disease Guidelines。
予防
確実な予防法はない。局所抗真菌療法(鼻腔内クロトリマゾール灌流)が第一選択(治癒率85〜90%)。全身投与のイトラコナゾール単独は効果不十分。
予後
犬における鼻腔アスペルギルス症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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