角膜ジストロフィー
概要
遺伝性の角膜混濁で、通常両眼性で緩徐に進行します。
主な症状
原因
遺伝性(常染色体劣性が多い)。実質性:シベリアンハスキー、ビーグル、シェルティに好発。内皮性:ボストンテリア、チワワ、ダックスフンドに好発。高脂血症に伴う脂質角膜症は鑑別が必要(後天性)。
病態生理
角膜実質への脂質(コレステロール・リン脂質・中性脂肪)またはミネラル(カルシウム)の異常沈着→角膜の透明性喪失。3型に分類:上皮性(稀)、実質性(最多、脂質沈着)、内皮性(角膜浮腫→水疱性角膜症)。実質性は通常視力に影響少。内皮性は進行性で視力低下あり。
治療
上皮性角膜ジストロフィー:角膜びらんを伴う場合は点状角膜切開術(grid keratotomy)またはダイヤモンドバー研磨。ヒアルロン酸点眼で角膜保護。間質性(脂質性)角膜ジストロフィー:通常視力に影響せず経過観察。進行例では表層角膜切除術(superficial keratectomy)。食事性脂質異常の除外。内皮性角膜ジストロフィー:角膜浮腫に対し高張食塩水点眼(5% NaCl q6-8h)。水疱性角膜症には治療用コンタクトレンズ。重症例は角膜移植。好発犬種:シベリアンハスキー(間質性)、ボストンテリア(内皮性)、シェルティ(上皮性)。参考文献: Gelatt KN. Veterinary Ophthalmology 6th ed 2021; Crispin SM. JSAP 2002.
予防
好発犬種の繁殖前眼科検査(CERF/OFA認定)、遺伝的キャリアの繁殖制限。後天性脂質角膜症は高脂血症の管理で予防。
予後
予後は異常の種類と重症度により著しく異なる。軽度の形態異常は外科的矯正により正常な生活が可能であるが、重度の多臓器奇形では生存率が低い。早期診断と適切な介入により機能的予後を改善できる症例が多い。遺伝性疾患では進行性の経過をたどるものもあり、長期的なモニタリングと支持療法が生活の質の維持に重要である。
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