網膜剥離
概要
神経網膜が下層の網膜色素上皮から剥離した状態。猫では滲出性(漿液性)が多く、全身性高血圧(CKDや甲状腺機能亢進症に続発)に伴うことが最も多いため、高齢猫の急性・しばしば両側性の失明の主要原因となる。突然の散瞳と視力消失は緊急の血圧測定の適応であり、速やかな降圧治療により網膜が再接着し視力が一部回復しうる。
主な症状
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臨床徴候
猫における網膜剥離の臨床徴候は罹患部位(角膜・結膜・前房・水晶体・網膜)と病態により異なる。結膜炎: 結膜充血・分泌物・流涙・眼瞼痙攣。角膜潰瘍: 流涙・眼瞼痙攣・羞明・角膜混濁(蛍光染色陽性)。緑内障: 急性眼痛・角膜浮腫・散瞳・眼球膨大・視覚消失。白内障: 水晶体混濁による進行性視覚障害。網膜疾患: 夜盲先行の進行性視覚障害(PRA等)・急性視覚消失(網膜剥離)。
原因
最多原因は全身性高血圧(CKDや甲状腺機能亢進症に続発)による滲出性/漿液性網膜剥離。その他、過粘稠度症候群(FIPの滲出液、リンパ腫)、眼内腫瘍、ぶどう膜炎、外傷、先天性網膜異形成。高血圧性網膜症は高齢猫の急性失明の最多原因である。
病態生理
全身性高血圧では網膜・脈絡膜の細動脈が傷害され、血管透過性亢進により網膜下に漿液性滲出液が貯留して神経網膜が網膜色素上皮から剥離する(滲出性剥離)。剥離した光受容体は脈絡膜からの酸素・栄養供給を断たれ、数日〜数週で不可逆的に変性する。剥離が長期化すると外節の萎縮と網膜の菲薄化が進み、再接着しても視機能は回復しない。猫では網膜出血・蛇行した網膜血管・乳頭浮腫を伴う高血圧性網膜症の所見を呈することが多く、早期の降圧(眼圧ではなく血圧管理)が視力温存の鍵となる。
診断
猫網膜剥離の診断は散瞳後の眼底検査で網膜の浮き上がり・ひだ形成を確認。超音波検査(眼科用)で剥離の範囲と網膜下液/出血を評価。猫の網膜剥離は全身性高血圧(腎不全、甲状腺機能亢進症に随伴)が最多原因。血圧測定必須(>160 mmHg で高血圧性網膜症)。BUN/Cre、T4測定。瞳孔散大・対光反射消失。ERG(網膜電図)で網膜機能の残存を評価。鑑別:ぶどう膜炎、眼内腫瘍、FIP性脈絡網膜炎。早期の血圧コントロール(アムロジピン)で網膜復位の可能性あり。
治療
基礎疾患治療(高血圧→アムロジピン0.625-1.25mg/頭 PO q24h)。全身性高血圧は収縮期180mmHg以上で緊急。安静。外科的再接着は猫では限定的。
予防
網膜剥離の予防: 定期的な眼科検査。環境中の刺激物(粉塵、アンモニア)の低減。外傷予防。基礎疾患(高血圧等)の管理。
予後
網膜剥離の予後: 早期治療で視機能温存可能。慢性疾患は長期管理が必要。網膜疾患は不可逆的な場合がある。
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