猫ノロウイルス感染症
概要
猫ノロウイルスによるウイルス性胃腸炎で、急性の嘔吐と下痢を引き起こします。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す猫の他の疾患を確認できます
臨床徴候
猫ノロウイルス感染症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
猫における猫ノロウイルス感染症の原因: 猫ノロウイルスによるウイルス性胃腸炎で、急性の嘔吐と下痢を引き起こします。
病態生理
猫ノロウイルスはカリシウイルス科ノロウイルス属の猫特異的株による急性消化管感染症。2012年にイタリアで初報告され、猫の急性下痢の新興感染症として認識されている。経口感染→小腸上皮細胞に感染→絨毛萎縮→吸収障害→水様性下痢。ヒトのノロウイルスとは異なる遺伝子型で、猫→ヒトの感染は報告されていない。多頭飼育環境・シェルターでの集団発生が報告されている。環境中での安定性が高く、通常の消毒(アルコール系)では不活化困難 (Di Martino B et al. Vet Microbiol 2016;191:53-58)。
診断
猫ノロウイルス感染の診断はRT-PCR検査(糞便)が確定的。電子顕微鏡で便中のウイルス粒子を検出。臨床徴候:急性の嘔吐・下痢(通常軽度〜中等度)、食欲低下。多頭飼育環境(シェルター等)で集団発生。CBC/生化学で脱水の程度を評価。便検査で他の感染性下痢(パルボ、寄生虫、Giardia)を除外。鑑別:FPV、コロナウイルス腸炎、食事性下痢。支持療法で自然回復。環境消毒が重要(ノロウイルスは次亜塩素酸ナトリウムが有効)。
治療
猫における猫ノロウイルス感染症の治療: 特異的抗ウイルス薬は限定的—支持療法と二次感染予防が中心。① 輸液療法: 等張晶質液 60-80 mL/kg/日 IV(脱水補正+維持)。重症は90 mL/kg初期ボーラス。② 制吐剤(消化器症状時): マロピタント 1 mg/kg IV/SC q24h、オンダンセトロン 0.5 mg/kg IV q8h。③ 二次性細菌感染予防: アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h、または ドキシサイクリン 5-10 mg/kg PO q12h(呼吸器症状時)。④ 食欲増進: ミルタザピン 1.88 mg/cat PO q48h、カプロモレリン 3 mg/kg PO q24h。⑤ 隔離(感染力が消失するまで)、ケージ消毒(次亜塩素酸1:32、エンベロープウイルスはエタノール70%でも可)。⑥ ワクチン未接種個体の同居動物にはコアワクチン接種を検討。AAHA/AAFP Vaccination Guidelines参照。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
猫ノロウイルス感染症の予防にはワクチン接種(利用可能な場合)、新規・病気動物の隔離、厳格なバイオセキュリティ対策、適切な消毒プロトコル、既知のキャリアや汚染環境との接触回避が含まれる。
予後
猫ノロウイルス感染症の予後: ウイルスの種類と宿主の免疫状態による。ワクチン予防可能な疾患は予防が最善。支持療法で多くが回復可能。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(猫)
VetDictで猫の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。