血管肉腫(HSA)
概要
血管内皮細胞由来の高度悪性血管腫瘍。犬での好発原発部位:脾臓(50%)、右心房/心耳(25%)、肝臓(5〜10%)、皮下/真皮、後腹膜。好発品種:ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール、ボクサー、ポルトガル・ウォーター・ドッグ。好発年齢:9〜12歳。壊滅的合併症:自然破裂による大量出血性滲出液(血腹・血胸・血心嚢)--初発症状となることが多い。診断時に>90%がミクロ転移を有する。手術+化学療法での生存期間中央値:5〜6ヶ月。
主な症状
原因
悪性血管内皮細胞腫瘍。好発品種(ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー)は遺伝的要因を示唆。太陽紫外線は皮膚型HSA(色素薄い露出皮膚)との関連が指摘される。内臓型HSAの単一確定原因はなし。
病態生理
血管肉腫は血管内皮細胞(または骨髄前駆細胞)の悪性変換から発生。腫瘍細胞が不完全な血管腔(腫瘍実質内の血液湖)を形成--非常に脆弱で破裂しやすい。病態:(1)自然出血:腫瘍血管壁の構造的異常・脆弱性→血液貯留→自然破裂→急性大量血腹(Waddell徴候:腹水+蒼白粘膜);(2)凝固障害:異常腫瘍血管内での凝固因子・血小板の消費→DIC(脾臓HSA診断時の40〜50%に存在);血小板減少症+微小血管病性溶血性貧血(血液塗抹上の断片赤血球);(3)転移:小さな原発腫瘍時点でも血行性早期播種(肺・肝・大網・腹膜・脳)--手術にもかかわらず長期予後が不良な理由。右心房HSA:破裂→血心嚢→心タンポナーデ。脾臓HSA:良性脾病変(血腫・結節性過形成)との画像上の鑑別不可--全ての大型脾腫瘤は手術的摘出が必要。
治療
脾臓HSA(急性破裂+血腹):(1)輸液蘇生(LRS 20〜40 mL/kg/hr--過剰輸液は凝固障害悪化に注意);PCV<15%で輸血/オキシグロビン。(2)緊急脾摘出術:遅延しない--止血が救命的;クリップ/ステープラーで速やかな止血。(3)術中:全腹腔の転移巣触診(肝・大網・後腹膜--可視結節は病理提出)。(4)補助化学療法(脾摘後):ドキソルビシン30 mg/m2 IV 21日毎×5〜6サイクル(最も有効な単剤);シクロホスファミド交互投与(VACプロトコル)。(5)心臓HSA(右心房/心耳):心嚢穿刺(急性タンポナーデ)→心嚢膜切除+右心耳腫瘤切除→ドキソルビシン化学療法。(6)皮膚型HSA:広範外科切除(2 cmマージン)--内臓型より予後良好;補助少量持続化学療法。(7)緩和:プレドニゾロン1〜2 mg/kg/日(手術不能症例)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • NMNミトコンドリアアシスト (NMN+α-リポ酸+システイン+プロバイオティクス): 細胞エネルギー代謝・サーチュイン活性化・抗老化 • Protain (高品質タンパク質+コラーゲン前駆体): がん悪液質・術後筋肉維持・除脂肪体重保持 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意 ※Protain: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
色素薄い犬種での日焼け止め/日光曝露回避(皮膚型HSA予防の可能性)。内臓型HSAの確立された予防法なし。好発犬種では7歳以降から年1回の腹部超音波スクリーニングを推奨。
予後
脾臓HSA+手術のみ:生存期間中央値1〜2ヶ月。脾臓HSA+ドキソルビシン:中央値4〜6ヶ月。心臓HSA:手術+化学療法で中央値1〜4ヶ月。皮膚型HSA(リンパ節転移なし):5年生存率30%以上。診断時stage III(転移あり):治療にかかわらず数日〜数週間。DIC合併例は予後著明悪化。
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