ノミアレルギー性皮膚炎
概要
ノミ唾液に対するアレルギー反応で、特に尾根部に激しい痒みを引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるノミアレルギー性皮膚炎の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
ノミ(主にCtenocephalides felis)唾液中のアレルゲン蛋白に対する過敏反応。アトピー素因のある犬でリスク上昇。温暖湿潤気候で通年発症、温帯では夏〜秋に好発。
病態生理
Ctenocephalides felis/canisの唾液中ハプテン(分子量15-40kDa)に対するI型(即時型)・IV型(遅延型)過敏反応→肥満細胞脱顆粒・ヒスタミン/ロイコトリエン放出→激しい掻痒→自傷性脱毛・二次感染。1匹のノミ刺咬でも発症可能。
診断
腰背部~尾根部の激しい掻痒、脱毛、丘疹性皮膚炎が特徴的分布。ノミ糞(黒色粒子を湿らせると赤褐色に溶出)の検出、ノミ成虫の確認。皮内反応試験(ノミ抗原)で即時型+遅延型反応。血清IgE検査(ノミ特異的)。皮膚掻爬/毛検でDemodex/Sarcoptes等の外部寄生虫を除外。1匹のノミ刺咬で症状誘発(アレルギー個体)。同居動物・環境中のノミ駆除が必須。
治療
犬アレルギー性皮膚疾患: ① 原因物質の同定と除去が最重要—床材(杉材は禁忌、紙系/ペレット系へ)、ケージ素材(金属アレルギー)、食事、消毒剤、香料、装飾品。② 局所: 患部洗浄(ぬるま湯)、低刺激エメリエント、抗菌作用のあるシャンプー(クロルヘキシジン2%)q3-7日。③ 全身: 短期プレドニゾロン 0.5-1 mg/kg PO q24h × 5-7日で漸減(小型哺乳類はステロイド慎重)、セチリジン 5-10 mg/animal PO q12-24h、ジフェンヒドラミン 2-4 mg/kg PO q8h。④ 食物アレルギー疑い: 8週hydrolyzed protein食試験。⑤ アトピー性(犬): シクロスポリン 5-7 mg/kg PO q24h、オクラシチニブ(Apoquel)0.4-0.6 mg/kg PO q12h × 14d→q24h。⑥ 二次性細菌感染: 培養感受性で抗菌薬。⑦ 自傷予防: エリザベスカラーまたは患部保護衣。支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。
予防
通年のノミ駆除(イソキサゾリン系:フルララネル・アフォキソラネル、スピノサド等)、環境駆除(室内の吸引清掃・寝具洗濯・IGR処理)、同居動物全頭の駆虫。
予後
犬におけるノミアレルギー性皮膚炎の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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