犬家族性腎症
概要
イングリッシュコッカースパニエルなどの犬種の遺伝性進行性腎疾患で、早期発症の腎不全を引き起こします。
主な症状
原因
遺伝性。イングリッシュコッカースパニエル(最多報告)、ブルテリア、サモエド、ドーベルマン。若齢犬(6ヶ月〜2歳)で多飲多尿・蛋白尿で発見。DNA検査が一部犬種で可能。
病態生理
遺伝性のネフロン発達異常→若齢犬での進行性CKD。品種ごとに異なる遺伝子変異:COL4A3/A4/A5(コッカースパニエル:X連鎖性/常染色体劣性Alport症候群様)。糸球体基底膜の構造異常→蛋白尿→腎線維化。
治療
根治療法なし。慢性腎臓病(CKD)管理が主体。腎臓食(リン・蛋白制限食:Royal Canin Renal、Hill's k/d等)。リン吸着剤:水酸化アルミニウム(30-90 mg/kg/日 食事に混合)または炭酸ランタン(初期用量に基づき調整)。ACE阻害薬:ベナゼプリル(0.5 mg/kg PO q24h、蛋白尿軽減・糸球体内圧低下)。脱水補正:皮下補液(LRS 75-150 mL SC q24-48h)。貧血(PCV<20%):ダルベポエチンα(1 μg/kg SC q週→q2-4週)。高血圧(収縮期>160 mmHg):アムロジピン(0.1-0.25 mg/kg PO q24h)。予後不良(若齢で進行、1-3年で末期腎不全)。好発:バーニーズ・マウンテンドッグ、コッカースパニエル、シーズー、ブルテリア。遺伝子検査で繁殖管理。Ref: Lees et al. 1998, IRIS CKD Guidelines 2023. [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
好発犬種のDNA検査による繁殖管理。CKDの支持療法。
予後
予後は異常の種類と重症度により著しく異なる。軽度の形態異常は外科的矯正により正常な生活が可能であるが、重度の多臓器奇形では生存率が低い。早期診断と適切な介入により機能的予後を改善できる症例が多い。遺伝性疾患では進行性の経過をたどるものもあり、長期的なモニタリングと支持療法が生活の質の維持に重要である。
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