← トップへ戻る
犬 (Dog) 神経 中等度

アラスカン・マラミュート多発性神経障害

Alaskan Malamute Polyneuropathy / アラスカン・マラミュート多発性神経障害

概要

アラスカン・マラミュートの遺伝性脱髄性多発性神経障害で、後肢から始まる進行性の虚弱を引き起こします。

主な症状

無気力 跛行(左後肢) 跛行(右後肢) 動きたがらない こわばり

原因

中枢・末梢神経系の構造的または機能的障害が原因である。感染性(脳炎、髄膜炎)、代謝性(肝性脳症、低血糖、尿毒症性脳症)、中毒性、血管性(脳血管障害)、腫瘍性、外傷性、変性性、免疫介在性の多様な機序が関与する。遺伝的素因による神経変性疾患や椎間板疾患における品種好発性も重要な因子として認識されている。

病態生理

神経疾患の病態生理は神��細胞の興奮性異常、軸索伝導障害、シナプス伝達異常に基づく。てんかんでは興奮性/抑制性神経伝達のバランス破綻により異常放電が生じる。脱髄疾患では髄鞘破壊による伝導速度低下と跳躍伝導の障害が生じる。神経変��疾患では異常タンパク質凝集体の蓄積が細胞毒性を発揮する。脊髄圧迫性疾患では軸索の物理的変形と血行障害が進行性の神経機能喪失をもたらす。

治療

根治療法なし。アラスカン・マラミュート特異的な遺伝性進行性多発性神経障害(NDRG1遺伝子変異、常染色体劣性)。支持療法:環境安全管理(滑り止め、段差回避)、筋萎縮軽減のための受動的ROM運動・水中トレッドミル。呼吸筋障害進行時:呼吸モニタリング、酸素補充。誤嚥性肺炎予防(嚥下困難時は食事姿勢管理、軟食)。疼痛管理(必要時):ガバペンチン(5-10 mg/kg PO q8-12h)。予後不良(10-18ヶ月齢で歩行不能に進行することが多い)。遺伝子検査(NDRG1変異)で繁殖管理・キャリア除外。EMG/神経伝導速度で脱髄パターン確認。Ref: Bruun et al. 2013, Shelton et al. 2003.

予防

外傷予防のための安全な環境整備、適切なワクチネーション(狂犬病・ジステンパー等)、毒性物質への曝露回避が基本的予防策である。遺伝性神経疾患を持つ品種では繁殖前の遺伝子検査が推奨される。椎間板疾患のリスクが高い犬種では過度の運動制限と適正体重維持が重要である。定期的な神経学的検査による早期発見が不可逆的な障害の進行防止に寄与する。

予後

予後は原疾患の種類、神経障害の重症度・部位、治療への反応性に大きく依存する。感染性・免疫介在性の神経疾患は早期の積極的治療により機能回復が期待できる場合がある。変性性神経疾患は進行性であり完治困難であるが、支持療法とリハビリテーションにより機能低下の速度を遅延させることが可能である。重度の脊髄損傷や脳幹病変では予後不良となる。

関連する薬品

💊 ガバペンチン

※ 薬品辞書で詳細な投与量・副作用情報を確認できます

神経の他の疾患(犬)

犬の全疾患を見る →

VetDictで犬の鑑別診断を行う

症状チェッカーを使う

関連する疾患

犬脊髄性筋萎縮症 (共通5症状) 変形性関節症 (共通4症状) 股関節形成不全 (共通4症状) レッグ・ペルテス病 (共通4症状) ウォブラー症候群(頸椎脊髄症) (共通4症状) 膝蓋骨脱臼(パテラ) (共通4症状) 変性性脊髄症(DM) (共通4症状) ネオスポラ症 (共通4症状)
📋 犬の疾患一覧を見る →
※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。