← トップへ戻る
インコ (Parakeet) 感染症 重度

鳥型結核症

Mycobacteriosis (Avian Tuberculosis) / 鳥型結核症

概要

インコにおける細菌性の多臓器/全身疾患。マイコバクテリウム症(鳥結核)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。

主な症状

※ 症状をクリックすると、その症状を示すインコの他の疾患を確認できます

臨床徴候

インコにおけるマイコバクテリウム症(鳥結核)の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。

原因

インコの結核(マイコバクテリア症)は抗酸菌 Mycobacterium 属(M. tuberculosis complex/M. bovis、鳥では M. avium)の感染による。経気道・経口感染で伝播し、人獣共通感染のリスクがある。

病態生理

抗酸菌はマクロファージ内で生存・増殖し、細胞性免疫による肉芽腫(結節)を諸臓器(肺・肝・脾・腸)に形成する。緩徐に進行し、慢性消耗・臓器機能不全を招く。

診断

抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen染色:糞便・組織からの抗酸菌検出)。PCR検査(Mycobacterium avium complex DNA検出が最も迅速)。培養(Löwenstein-Jensen培地:数週間を要する)。CBC・生化学(肝酵素上昇)。X線検査(肝脾腫大・腸壁肥厚)。組織病理(肉芽腫性炎症・多数の抗酸菌)。インコ類の鳥型結核は慢性消耗性疾患として発現し、体重減少・慢性下痢が主徴候。人獣共通感染症の可能性があり、免疫不全者への感染リスクを考慮する。

治療

治療は議論が多く推奨されないことが多い: (1)人獣共通感染症リスク(Mycobacterium avium complex—免疫不全者に危険)、(2)極めて長期の治療(12-18ヶ月以上)、(3)治癒の保証なし。治療を試みる場合: 多剤併用が必須—リファンピシン15-30 mg/kg PO q12h+エタンブトール15-30 mg/kg PO q12h+アジスロマイシン40-80 mg/kg PO q24-48h(3剤併用)。フルオロキノロン(エンロフロキサシン15 mg/kg PO q12h)追加プロトコルもあり。最低12-18ヶ月の連続投与。支持療法: バランスペレット食、保温、悪液質時は強制給餌。多くの鳥類獣医は治療より安楽死を推奨: 人獣共通リスク、治療中も慢性排出、長期予後不良、小鳥での長期多剤レジメンの困難と費用。安楽死を辞退する場合: 他の鳥・免疫不全者からの厳格な隔離、取扱い時手袋着用、ケージの徹底消毒。糞便の抗酸菌染色でモニタリング。予後は極めて不良—治療にもかかわらず大部分が死亡。参考: Tell LA et al. (2001); Lennox AM (2007) J Avian Med Surg.

予防

インコにおけるマイコバクテリウム症(鳥結核)の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。

予後

インコのマイコバクテリウム症(鳥結核)は予後不良。長期多剤併用(azithromycin+rifampin+ethambutol 6-12ヶ月)でも再発率高く、群への感染拡大リスクから安楽死を検討する。人獣共通感染症リスクあり防護必須。

関連する薬品

💊 エンロフロキサシン 💊 アジスロマイシン 💊 リファンピン 💊 エタンブトール

※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます

感染症の他の疾患(インコ)

インコの全疾患を見る →

VetDictでインコの鑑別診断を行う

症状チェッカーを使う

関連する疾患

アトキソプラズマ症 (共通4症状) ヒストプラズマ症 (共通4症状) 気管ダニ(インコ) (共通4症状) 細菌性肺炎(インコ) (共通4症状) 疥癬(鱗状顔面)(インコ) (共通4症状) 羽毛ダニ(インコ) (共通4症状) ワクモ(Dermanyssus)(インコ) (共通4症状) 口腔膿瘍(インコ) (共通4症状)
📋 インコの疾患一覧を見る →
※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。