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犬 (Dog) その他 軽度

腸腰筋損傷

Iliopsoas Muscle Strain / 腸腰筋損傷

概要

腸腰筋の損傷または断裂で、後肢の跛行と股関節伸展時の痛みを引き起こします。

主な症状

跛行(左後肢) 跛行(右後肢) 触ると痛がる 動きたがらない こわばり

原因

外力(落下、衝突、圧迫、咬傷、鋭利物による切創)による組織の物理的損傷が直接的原因である。不適切な飼育環境(狭小・過度に高い構造物、鋭利な突起物、滑りやすい床面)、他動物との闘争、不注意な取り扱い、逃走時の事故が受傷の主要な状況として挙げられる。幼若動物や骨密度低下状態の個体では損傷が重症化しやすい。

病態生理

外傷の病態生理は機械的エネルギーによる直接的な組織破壊から始まる。血管損傷により出血と血腫が形成され、組織虚血が進行する。損傷組織からDAMPs(損傷関連分子パターン)が放出され、自然免疫系を活性化して急性炎症反応を惹起する。重度の外傷では全身性炎症反応(SIRS)、凝固障害(外傷性凝固障害)、虚血再灌流障害が多臓器不���の引き金となる。

治療

腸腰筋損傷(iliopsoas strain)。腰椎-大腿骨小転子に付着する主要屈筋の損傷。好発: スポーツドッグ(アジリティ、フライボール)、大型犬(急激な方向転換・ジャンプ)。臨床像: 後肢の慢性・間欠性跛行(荷重性 — 運動後増悪)。 股関節伸展+外転時の疼痛(stretching test — 最も感度高い)。 腰椎横突起腹側の触診で疼痛。 起立困難、ジャンプ回避、階段嫌がる。診断: 触診: 股関節伸展+外転の疼痛(dorsal recumbencyで実施)。 腹腰筋直接触診: 直腸触診 or 腹部深触診で圧痛。 エコー: 筋線維の断裂、血腫、エコー輝度変化。 MRI: T2高信号(浮腫/出血)、筋肉内の信号変化(最も感度高)。 CT: 筋萎縮、石灰化(慢性例)。 X線: 腰椎横突起近位の石灰化(慢性例の補助所見)。保存療法(第一選択 — 大半の症例): 運動制限: 6-8週の厳密な安静(リード散歩のみ)。 NSAIDs: メロキシカム0.1 mg/kg PO q24h × 2-4週。 ガバペンチン5-10 mg/kg PO q8-12h(神経障害性疼痛成分)。 冷却: 急性期(48-72h)— アイスパック15分 q6h。 温熱療法: 慢性期 — 血流促進・筋弛緩。リハビリ(重要 — 再発予防の鍵): 水中トレッドミル(早期からの低負荷運動 — 3-4週目から)。 ストレッチング(股関節伸展 — 疼痛なし範囲で)。 筋力強化: カバレッティ、バランスボード、坂道歩行。 レーザー療法(class IV — 疼痛緩和・組織修復促進)。難治・慢性例: 超音波ガイド下PRP注射(多血小板血漿 — 成長因子による修復促進)。 体外衝撃波療法(ESWT)。 外科的腱切離(iliopsoas tenotomy — 最終手段)。予後: 保存療法+リハビリで80%以上が改善。再発予防には運動管理が重要。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Joint (MSM+グルコサミン/コンドロイチン): 関節軟骨保護・抗炎症 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意

予防

安全な飼育環境の整備が最も基本的な予防策である。屋外アクセスの管理(リード使用・フェンス設置)、交通事故防止のための放し飼い制限、高所からの落下防止、他の動物との不適切な接触回避が含まれる。適切な運動管理により過度の負荷による損傷を予防する。環境エンリッチメントによるストレス関連行動(自傷・逃走)の軽減も重要な予防因子である。

予後

予後は損傷の重症度、罹患部位、合併症の有無、治療開始の迅速さに依存する。軽度の軟部組織損傷は適切な処置により完全治癒が期待できる。重度の多発外傷や臓器損傷では初期の集中治療が生存を左右する。骨折の多くは適切な整復と固定により機能的回復が得られるが、神経損傷を伴う場合や開放骨折では予後が慎重となる。リハビリテーションが機能回復に重要である。

関連する薬品

💊 メロキシカム 💊 ガバペンチン 💊 グルコサミン・コンドロイチン

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