犬急性特発性多発性神経根炎
概要
急性炎症性脱髄性多発性神経障害(ギラン・バレー症候群の犬版)で、上行性麻痺を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬急性特発性多発性神経根炎の臨床徴候は罹患部位(前脳・脳幹・小脳・脊髄・末梢神経)により局在化所見を示す。前脳: 発作・行動変化・盲目・周徊・運動失調。脳幹: 脳神経障害・運動失調・意識障害。小脳: 企図振戦・低測定運動失調・広基歩行。脊髄: 四肢麻痺/対麻痺・排尿障害・反射異常(病変高位で異なる)。末梢神経: 筋萎縮・反射低下・遠位部優位の弛緩性麻痺。
原因
特発性が最多。先行感染・ワクチン後。全犬種・全年齢。
病態生理
免疫介在性の脊髄神経根・末梢神経の急性脱髄→下位運動ニューロン型弛緩性上行性麻痺。GBS類似。非疼痛性。
診断
犬急性特発性多発性神経根炎(クーンハウンド麻痺/ギラン・バレー様症候群)の診断は急性発症の上行性弛緩性四肢麻痺から臨床的に疑う。後肢から始まり数日で四肢麻痺に進行。腱反射減弱〜消失。呼吸筋麻痺のリスクあり。CSF:蛋白細胞解離(蛋白上昇、細胞数正常)。EMG:脱神経電位(発症7-10日後)。NCV:運動神経伝導速度低下。MRIで腹側神経根の造影効果。アライグマ曝露歴(クーンハウンド麻痺)を確認。鑑別:ボツリヌス中毒、ダニ麻痺、重症筋無力症、脊髄疾患。支持療法(体位変換、呼吸管理)で3-6週間で自然回復。
治療
犬急性特発性多発性神経根炎(coonhound paralysis/acute canine polyradiculoneuritis)。支持療法が治療の主体:理学療法(受動的ROM運動 1日3-4回、筋萎縮予防)、柔らかい寝床+体位変換q4h(褥瘡予防)、排尿補助(尿閉時:膀胱圧迫排尿 or 導尿q8h)。呼吸筋麻痺時:酸素補充、重症例はICU管理+機械的人工換気。誤嚥性肺炎予防(上体挙上授乳)。回復期間4-6週〜数ヶ月(長い場合6ヶ月以上)。hIVIG(ヒト免疫グロブリン静注 0.5 g/kg IV)の効果報告あり(エビデンスは限定的)。予後:深部痛覚保持例は概ね良好(歩行回復80-90%)だが回復に時間がかかる。好発:アライグマ唾液暴露後/ワクチン後。GBS(Guillain-Barré syndrome)の動物モデル。Ref: Cummings et al. 1982, Cuddon 2002.
予防
支持療法。多くは3〜6週間で自然回復。呼吸筋麻痺は人工換気必要。
予後
犬急性特発性多発性神経根炎の予後は病因と神経学的重症度(特に深部痛覚の有無)により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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