猫免疫不全ウイルス感染症
概要
免疫系を攻撃するレトロウイルス感染症で、主に咬傷を通じて感染します。
主な症状
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臨床徴候
FIVの臨床徴候は感染病期により異なる。急性期(感染後4-12週): 一過性発熱・リンパ節腫大・神経症状(軽度)が認められるが見逃されやすい。無症候期(数ヶ月〜10年): 臨床的に正常、健康診断で偶発的に診断される。AIDS類似期: 慢性歯肉口内炎(最多、約50%)、慢性鼻炎・上気道感染、再発性下痢、削痩、貧血、二次感染の慢性化、リンパ腫リスク上昇。
原因
FIV感染の主な経路は、感染猫の唾液を介した咬み傷です。喧嘩による咬傷が最大の感染リスク因子です。共有の水皿や食器、相互の毛繕いなどの日常的な接触では効率的な伝播は起こりにくいとされています。妊娠中の感染猫から子猫への垂直感染は稀です。
病態生理
FIVはCD4+ Tリンパ球、マクロファージ、樹状細胞に感染するレンチウイルスであり、ヒトのHIVと同様に進行性の免疫機能不全を引き起こす。ウイルスはCD4+ T細胞を徐々に減少させ、免疫抑制を招き、日和見感染症、腫瘍、その他の二次疾患に罹患しやすくなる。急性期、無症候性キャリア期、終末期(AIDS様)の段階を経て、数ヶ月から数年かけて進行する。
診断
FIVの診断はELISA抗体検査とウエスタンブロットに基づく。SNAP FIV(ELISA): 抗FIV抗体検出 — スクリーニング(感度>98%)。偽陽性: ワクチン接種歴のある猫(ワクチン抗体は2-3年持続)。偽陰性: 感染初期(抗体産生前2-4週間)、末期(免疫不全)。ウエスタンブロット: 確認試験(特異度最高)。PCR(プロウイルスDNA): ワクチン抗体との区別に有用。母猫抗体の受動移行: 子猫は6ヶ月齢以降に再検査。CBC: リンパ球減少(CD4+ T細胞の減少)、好中球減少。CD4/CD8比の低下が疾患進行の指標。雄の放し飼い猫(咬傷感染)に好発。
治療
猫における猫免疫不全ウイルス感染症の治療: 特異的抗ウイルス薬は限定的—支持療法と二次感染予防が中心。① 輸液療法: 等張晶質液 60-80 mL/kg/日 IV(脱水補正+維持)。重症は90 mL/kg初期ボーラス。② 制吐剤(消化器症状時): マロピタント 1 mg/kg IV/SC q24h、オンダンセトロン 0.5 mg/kg IV q8h。③ 二次性細菌感染予防: アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h、または ドキシサイクリン 5-10 mg/kg PO q12h(呼吸器症状時)。④ 食欲増進: ミルタザピン 1.88 mg/cat PO q48h、カプロモレリン 3 mg/kg PO q24h。⑤ 隔離(感染力が消失するまで)、ケージ消毒(次亜塩素酸1:32、エンベロープウイルスはエタノール70%でも可)。⑥ ワクチン未接種個体の同居動物にはコアワクチン接種を検討。AAHA/AAFP Vaccination Guidelines参照。
予防
完全予防法は「猫を外に出さないことだけが100%完全」です。その他の予防策:1)FIV陽性猫と陰性猫の完全な隔離、2)新しく猫を導入する際は事前検査が必須、3)ワクチンは存在しますが100%の効果は保証されません。喧嘩を避けることが重要です。
予後
FIV陽性猫の予後は様々です。急性期で検出されれば予後はより良く、多くの猫は無症状期を数年間(時に10年以上)継続します。しかし最終的には免疫が低下し、二次感染症(特に口内炎、下気道感染、各種腫瘍)により生命を脅かされることが多いです。個体差が大きく、適切な管理と定期的な獣医学的ケアが寿命を延長する上で重要です。
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📚 参考文献
Based on articles retrieved from PubMed
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