猫伝染性腹膜炎(ドライ型)
概要
FIPの肉芽腫型(非滲出型)。眼、中枢神経系、腎臓、腸間膜リンパ節などに膿性肉芽腫病変を形成し、貯留液は少ない。GS-441524抗ウイルス療法により治癒可能となった。
主な症状
原因
ウェット型と同じく猫腸管コロナウイルスからFIPVへの変異が原因。ドライ型(肉芽腫型)は部分的な細胞性免疫応答により貯留液ではなく臓器内に膿性肉芽腫病変を形成する。リスク因子: 若齢(<2歳)、ストレス、多頭飼育環境、純血種。
病態生理
部分的な細胞性免疫応答がFIPV感染マクロファージを限定するが排除しきれず、貯留液ではなく臓器内に膿性肉芽腫病変を形成する。眼内(膿性肉芽腫性ぶどう膜炎、網膜血管周囲浸潤)、中枢神経系(髄膜炎、上衣炎、水頭症による発作・運動失調)、腎臓(不整形腎腫大)、肝臓、腸間膜リンパ節に肉芽腫が形成される。
治療
【抗ウイルス療法(治癒的治療)】 GS-441524 8 mg/kg SC q24h × 84日間(非滲出型の標準用量、Addie et al. ABCD 2022)。眼型FIP: 8 mg/kg。神経型FIP: 中枢神経系移行を確保するため 10-12 mg/kg SC q24h。経口製剤: 12-15 mg/kg PO SID。【代替薬】 モルヌピラビル 12.5-15 mg/kg PO q12h × 84日(特に神経型に有用)。【補助療法】 眼型FIPには局所プレドニゾロン酢酸 1% q6-8h(全身GS-441524と併用)。発作に対し抗てんかん薬(レベチラセタム 20 mg/kg PO q8h)。重度の脳浮腫にはマンニトール。【支持療法】 高カロリー栄養、食欲刺激にミルタザピン、ビタミンB群。抗ウイルス療法中の全身性コルチコステロイドは避ける。【モニタリング】 毎週の体重測定、月次のCBC/生化学/A:G比、AGP、神経学的再評価。臨床的改善は2-6週間(ウェット型より緩徐)。【再発】 再発率はウェット型より高い(15-25%)、投与期間延長または増量での再治療に反応。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労
予防
ストレス軽減、多頭飼育環境の衛生管理、新規導入猫の検査、FCoV排出猫の隔離、早期離乳の回避。有効なワクチンは存在しない。
予後
GS-441524療法により非滲出型 寛解率70-85%、神経型 60-80%。未治療ではほぼ100%致死的。早期診断が転帰を改善。長期的治癒が可能。
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📚 参考文献
Based on articles retrieved from PubMed
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