心血管系ウイルス性疾患(猫)
概要
猫パルボウイルス(FPV)は子宮内感染時に小脳低形成を、新生仔期感染で心筋炎を引き起こす。FeLVは直接的心筋浸潤よりもリンパ腫の心臓転移として関与。FIPウイルス(FCoV変異株)による肉芽腫性血管炎は心膜炎・心筋炎を合併し得る。FIVは免疫抑制を介して日和見的心血管感染を促進する。ワクチンプログラムによるFPV・FeLV予防が最も有効な一次予防策。
主な症状
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臨床徴候
発熱、無気力、食欲不振、鼻汁・眼脂、呼吸器症状、下痢・嘔吐(指向性により異なる)、リンパ節腫大、脱水。種特異的徴候として皮膚病変、神経症状、出血が見られることがある。
原因
猫のウイルス性心疾患は複数のウイルスが原因となる。(1)猫伝染性腹膜炎ウイルス(FCoVの病原性変異株、FIPV)は免疫介在性血管炎と肉芽腫性炎症を介して心膜炎・心筋炎を引き起こす。(2)猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症ウイルス、FPV)は特に新生子猫・若齢猫で心筋細胞に感染し、心筋炎・心筋壊死を起こす。(3)猫白血病ウイルス(FeLV)は間接的に心筋病変(心筋症様変化)を来す。ワクチン未接種・不完全接種、免疫抑制状態、幼若齢・高齢、多頭飼育がリスク因子となる。
病態生理
猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症ウイルス)は新生子猫の心筋細胞に感染し、心筋炎および心筋壊死を引き起こす。これにより心収縮力の低下、拡張型心筋症、不整脈、さらにはうっ血性心不全に至る可能性がある。また猫伝染性腹膜炎(FIP)コロナウイルスも免疫介在性血管炎を通じて心膜炎や心筋炎を引き起こすことがある。
診断
Cardiovascular Viral Disease (猫)(猫)の診断は臨床徴候、詳細な病歴、身体検査に基づく。推奨される検査: PCR検査 (PCR Test), 血清抗体検査 (Serology / Antibody Test), 全血球計算 (CBC), ウイルス分離培養 (Virus Isolation)。猫における類似の臨床徴候を呈する他疾患との鑑別が必要である。
治療
猫のウイルス性心筋炎 — FIP、パルボウイルス、FeLV関連など。原因ウイルス: FIPウイルス(FCoV変異株): 肉芽腫性心筋炎。 パルボウイルス(FPV/CPV-2): 特に若齢猫・子猫。 FeLV: 間接的心筋病変(心筋症様)。診断: 心エコー: 心筋肥厚・壁運動低下・心嚢液貯留。 トロポニンI(cTnI)上昇(>0.5 ng/mL — 心筋障害マーカー)。 心筋生検(確定診断だが侵襲的): 免疫染色でウイルス抗原検出。 FCoV抗体価、FeLV Ag検査(SNAP)、パルボPCR。原因別治療: FIP: GS-441524 10-15 mg/kg PO q24h × 84日(効果率>85%)。 — 代替: モルヌピラビル10-15 mg/kg PO q12h × 84日。心不全管理: フロセミド1-2 mg/kg PO q12h(容量負荷時)。 ピモベンダン0.25 mg/kg PO q12h(収縮不全時 — off-label)。 クロピドグレル18.75 mg/cat PO q24h(血栓予防 — 左房拡大時)。 ACE阻害薬(ベナゼプリル0.25-0.5 mg/kg PO q24h)。対症療法: 酸素療法、安静、ストレス回避。予後: FIP起因は未治療で数週以内死亡、GS-441524で劇的改善可能。 パルボ・FeLV起因は基礎疾患の予後に依存(一般に不良)。
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予防
猫における心血管系ウイルス性疾患の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
猫における心血管系ウイルス性疾患の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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