心血管系寄生虫感染症(猫)
概要
Dirofilaria immitisの蚊媒介感染で、猫は非定型宿主のため成虫到達数は少数(1-3匹)だが、幼虫の肺動脈到達時にHARD(犬糸状虫関連呼吸器疾患)を発症する。好酸球性肺炎・肺動脈内皮障害・血管平滑筋肥大が病態の中核。成虫死滅時の急性肺血栓塞栓症が突然死の原因となる。抗原検査の感度は犬より低く(雌虫2匹以上で陽性)、抗体検査との併用が推奨。予防が最善の戦略。
主な症状
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原因
猫における心血管系寄生虫疾患の原因は寄生虫(蠕虫・原虫・節足動物)の感染である。感染経路は寄生虫種により多様で、経口摂取(汚染食物・水・中間宿主の捕食)、経皮侵入、節足動物媒介(ダニ・蚊・ノミ)、経胎盤・経乳感染を含む。過密飼育、衛生管理不良、免疫抑制、定期的駆虫の不足が感染リスクを高める。寄生虫のライフサイクル理解が治療成功と再感染予防の鍵となる。気候変動に伴う媒介動物分布拡大により、従来は低リスクとされた地域での発症増加が報告されている。
病態生理
猫における心血管系寄生虫疾患の病態生理は寄生虫種・寄生数・寄生部位により異なる。消化管寄生虫: 粘膜傷害・栄養素吸収阻害・血管侵入による出血・腸閉塞を引き起こす。心血管寄生虫(フィラリア): 肺動脈閉塞・血管炎・右心後負荷増大により右心不全に進展。血液寄生虫(バベシア等): 赤血球内寄生で溶血、免疫介在性二次溶血、播種性血管内凝固を引き起こす。外部寄生虫: 皮膚傷害・アレルギー反応・媒介病原体伝播を介して二次性疾患を引き起こす。
治療
猫では成虫駆除薬(メラルソミン)は致命的な血栓塞栓症のリスクが高いため一般に推奨されない。治療は主に対症療法で、プレドニゾロン(1-2 mg/kg PO漸減投与)による肺炎症の軽減、気管支拡張薬(テルブタリン0.01 mg/kg SC)による呼吸困難の管理、およびイベルメクチン(24 mcg/kg月1回)を予防的に投与し新規感染を防ぎながら成虫の自然死を待つ。大静脈症候群を伴う重症例では頸静脈切開による外科的虫体摘出を検討する。
予防
猫における心血管系寄生虫疾患の予防は定期的駆虫・媒介動物制御・環境衛生の3本柱。消化管寄生虫: 子犬子猫は2-4週齢から繰返し駆虫、成獣は便検査結果に基づく定期投与。心血管寄生虫(フィラリア): 流行地での年間予防投与(イベルメクチン・ミルベマイシン等)。外部寄生虫: 月1回の外部寄生虫予防薬投与、環境清掃。散歩後のダニチェック、媒介動物(ダニ・蚊・ノミ)の生息環境改善も重要。
予後
猫における心血管系寄生虫疾患の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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