💊 乳酸リンゲル液
Lactated Ringer's Solution (LRS) / 乳酸リンゲル液
作用機序
等張性の平衡型補充輸液(Na 130・K 4・Ca 3・Cl 109 mEq/L、乳酸28 mEq/L、約273 mOsm/L)。乳酸は肝で代謝され重炭酸となり軽度のアルカリ化作用を示す。多くの種でショック蘇生・脱水補正・維持輸液の第一選択。
Isotonic balanced replacement crystalloid (Na 130, K 4, Ca 3, Cl 109 mEq/L, lactate 28 mEq/L; ~273 mOsm/L). Hepatic metabolism of lactate yields bicarbonate, giving a mild alkalinising effect. First-line fluid for shock resuscitation, dehydration replacement and maintenance in most species.
動物種別 投与量
| 動物種 | 安全性 | 用量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 犬 Dog |
✓ 可 | ショック: 10-20 mL/kg 静注 15-20分、再評価しながら反復(合計80-90 mL/kgまで)。脱水補正: 脱水率(%)×体重(kg)×10 = mL を12-24時間で+進行中喪失分。維持: 40-60 mL/kg/日(AAHA/AAFP 2013)。 | ボーラス毎に灌流指標(心拍・脈圧・乳酸・血圧)を再評価 — ショック総量を盲目的に入れず滴定する。 |
| 猫 Cat |
✓ 可 | ショック: 5-10 mL/kg 静注 15-20分で再評価(合計40-60 mL/kg)。維持: 40-60 mL/kg/日(約2-3 mL/kg/時)。 | 猫は容量過負荷を起こしやすい(潜在性心筋症)— 少量ボーラスで、聴診と呼吸数モニタリングを併行。 |
| 馬 Horse |
✓ 可 | ショック・疝痛蘇生: 10-20 mL/kg 急速静注ボーラス、再評価し反復。維持: 50-60 mL/kg/日。 | 太径カテーテル(必要なら複数)。大量輸液中はPCV/TSをモニタリング。 |
| うさぎ Rabbit |
✓ 可 | 維持 80-100 mL/kg/日。軽-中等度脱水は加温してSC分割投与。ショック: 10-15 mL/kg IV/IO ボーラスで再評価。 | 輸液は加温する(小型哺乳類は容易に低体温になる)。 |
| 鳥 Bird |
✓ 可 | ボーラス 10-25 mL/kg IV/IO 緩徐に。維持・軽度脱水は加温してSC 50-100 mL/kg/日 分割。 | 重症例は内側中足静脈・頸静脈IVまたはIOカテーテル。 |
| インコ Parakeet |
✓ 可 | ボーラス 10-25 mL/kg IV/IO 緩徐に。維持・軽度脱水は加温してSC 50-100 mL/kg/日 分割。 | (鳥類データから推定) 重症例は内側中足静脈・頸静脈IVまたはIOカテーテル。 |
| オウム Parrot |
✓ 可 | ボーラス 10-25 mL/kg IV/IO 緩徐に。維持・軽度脱水は加温してSC 50-100 mL/kg/日 分割。 | (鳥類データから推定) 重症例は内側中足静脈・頸静脈IVまたはIOカテーテル。 |
| 爬虫類 Reptile |
✓ 可 | 15-25 mL/kg/日 SC・体腔内・温浴(POTZで)。欠乏補正は48-72時間かけて(代謝が遅いため緩徐に)。 | 投与前にPOTZまで加温。 |
| リクガメ Tortoise |
✓ 可 | 15-25 mL/kg/日 SC・体腔内・温浴(POTZで)。欠乏補正は48-72時間かけて(代謝が遅いため緩徐に)。 | (爬虫類データから推定) 投与前にPOTZまで加温。 |
| ヘビ Snake |
✓ 可 | 15-25 mL/kg/日 SC・体腔内・温浴(POTZで)。欠乏補正は48-72時間かけて(代謝が遅いため緩徐に)。 | (爬虫類データから推定) 投与前にPOTZまで加温。 |
| トカゲ Lizard |
✓ 可 | 15-25 mL/kg/日 SC・体腔内・温浴(POTZで)。欠乏補正は48-72時間かけて(代謝が遅いため緩徐に)。 | (爬虫類データから推定) 投与前にPOTZまで加温。 |
主な副作用
- ⚠️ 容量過負荷(肺水腫 — 特に猫・小型エキゾチック)、大量投与時の希釈性変化、低蛋白血症での間質浮腫。
禁忌・注意
🚫 血液製剤と同一ラインで投与しない(カルシウムがクエン酸抗凝固剤と反応し凝固)。うっ血性心不全・無尿性腎不全・重度肝不全(乳酸代謝低下)・頭部外傷(軽度低張)では慎重に。
薬物相互作用
| 併用薬 | 影響 |
|---|---|
| Blood products (same line) | カルシウム含有のためクエン酸血液が凝固 — 別ライン or 生理食塩液を使用 |
| ceftriaxone | カルシウム-セフトリアキソン沈殿 — 同一ラインで併用しない |
この薬が使われる疾患
急性腎不全 馬
急性腎不全 うさぎ
急性腎不全 チンチラ
アデノウイルス性肝炎 爬虫類
抗生物質毒性(モルモット) モルモット
抗生物質関連腸管毒素血症 うさぎ
アスペルギルス症急性劇症型 鳥
誤嚥性肺炎 馬
鳥アデノウイルス性肝炎 鳥
鳥脳脊髄炎 鳥
鳥インフルエンザ 鳥
鳥インフルエンザ オウム
鳥類パスツレラ症(家禽コレラ変異型) 鳥
鳥ポリオーマウイルス感染症 鳥
鳥ポリオーマウイルス感染症 オウム
細菌性腸炎(クロストリジウム性) チンチラ
内臓型腺疫 馬
嘴骨折(インコ) インコ
膀胱破裂 馬
鼓脹症(胃拡張) モルモット
鼓脹症 デグー
ボツリヌス中毒 フェレット
カルシウム欠乏症繁殖型(産卵鳥) 鳥
犬パルボウイルス感染症 犬
その他の他の薬品
VetDictで鑑別診断・薬用量を確認する
薬品辞典を開く
※ 本ページの用量・相互作用情報は獣医学的参考資料であり、処方の代替ではありません。投与前に必ず原典(Plumb's Veterinary Drug Handbook 等)および添付文書で再確認し、獣医師の判断のもとで使用してください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。