熱中症
概要
致死的な高体温症。ウサギは28〜30度以上の暑さに非常に弱い動物です。
主な症状
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臨床徴候
ウサギにおける熱中症の臨床徴候は罹患部位(前脳・脳幹・小脳・脊髄・末梢神経)により局在化所見を示す。前脳: 発作・行動変化・盲目・周徊・運動失調。脳幹: 脳神経障害・運動失調・意識障害。小脳: 企図振戦・低測定運動失調・広基歩行。脊髄: 四肢麻痺/対麻痺・排尿障害・反射異常(病変高位で異なる)。末梢神経: 筋萎縮・反射低下・遠位部優位の弛緩性麻痺。
原因
ウサギにおける熱中症の原因: 環境的危険、落下、不適切な取り扱い、同種間攻撃、捕食者攻撃、温度極端による物理的損傷。不適切な飼育環境がリスクを高める。
病態生理
熱中症はウサギにおける外傷性・機械的疾患である。罹患組織の構造的耐性を超える外部機械的力により組織損傷が生じる。損傷は出血、浮腫、疼痛を伴う急性炎症カスケードを惹起する。重症度に応じて、血管供給の途絶による虚血、環境微生物による汚染、進行性の組織壊死が生じうる。治癒過程は止血、炎症、増殖、リモデリングの各段階を経る。
診断
環境温度・湿度の確認と曝露時間の聴取。直腸温で高体温(>40.5°C)を確認。血液ガス分析で代謝性アシドーシス・電解質異常を評価。血液検査でDIC(凝固時間延長・血小板減少)・臓器障害(肝酵素・BUN・Cre上昇)を確認。ウサギは汗腺がなく耳介の血管拡張でしか放熱できないため、環境温度28°C以上で熱中症リスクが急増。湿度の高い環境で特にリスクが高い。
治療
ウサギの熱中症は真の緊急事態 — ウサギは熱に極めて敏感(汗腺なし、パンティング能力限定的、厚い被毛)。直腸温>40.5°C(105°F)は生命を脅かす。発症後15-30分で死亡しうる。【即座の冷却(最優先)】: 冷たい(冷水/氷ではない)水で被毛を濡らす — 微温水15-20°Cを耳(主要体温調節器官 — 広い表面積、薄い皮膚、豊富な血管網)、鼠径部、足に塗布。足裏にイソプロピルアルコールを塗布(蒸発冷却)。濡れたウサギに扇風機で送風。氷水や保冷剤の直接使用は絶対禁忌(末梢血管収縮を引き起こし、熱をコアに閉じ込め — 逆説的に高体温を悪化)。直腸温が39.5°C(103.1°F)に達したら積極的冷却を中止 — 過冷却はリバウンド低体温を引き起こす。【IV輸液】: 晶質液(0.9% NaClまたはLRS)10-15 mL/kg IVを10-15分でボーラス投与、その後維持4-6 mL/kg/h。室温の輸液(冷たい輸液は不可 — 血管収縮)。IV確保困難時: IO(骨内)経由で脛骨近位または大腿骨; SC輸液は一時的措置(ショック時は吸収低下)。【酸素】: フローバイまたは酸素ケージ(保定/マスクは回避 — ストレス増悪)。【合併症のモニタリング】: DIC — PT/PTT、フィブリノゲン、血小板数、D-ダイマーを確認。DIC発症時: 新鮮凍結血漿10-15 mL/kg IV。急性腎障害 — BUN、クレアチニン、尿量モニタリング。脳浮腫 — 冷却後も神経症状持続する場合マンニトール0.5-1.0 g/kg IVを20分かけて投与。横紋筋融解 — 暗色尿、CK上昇: 積極的輸液利尿。消化管合併症: 腸管バリア崩壊→細菌転座→敗血症。敗血症疑い: エンロフロキサシン10-20 mg/kg IV/SC q12h(経口ペニシリン系は絶対禁忌)。肝障害 — ALT、ALPモニタリング。【疼痛管理】: メロキシカム0.3-0.5 mg/kg SC q24h。ブプレノルフィン0.01-0.05 mg/kg SC q6-8h。【GIサポート】: 覚醒後Critical Careシリンジ給餌。GI stasisにメトクロプラミド0.5-1.0 mg/kg SC q6-8h。連続血液化学検査・PCV/TS・血液ガスq4-6hで初期24時間モニタリング。参考文献: Harcourt-Brown (2002); Paul-Murphy (2007) Vet Clin Exot Anim; Oglesbee (2011).
予防
熱中症の予防には安全で種に適した飼育環境の整備、鋭利物・危険物の除去、適切な取り扱い技術、他の動物との接触時の監視、温度管理、落下防止策が含まれる。
予後
熱中症の予後: 早期発見と適切な治療で多くの疾患は予後良好。慢性疾患は定期的モニタリングと治療調整で長期管理可能。
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