横隔膜ヘルニア
概要
外傷による横隔膜の裂傷を通じて腹腔臓器が胸腔内に入り込む状態です。
主な症状
原因
消化器系組織への物理的外傷が原因。転落・ケージ損傷・取扱い事故・同居個体や捕食者からの咬傷・環境危険物が一般的原因。ウサギの解剖学的特性が特定の損傷タイプへの素因となりうる。二次合併症として感染・治癒遅延・慢性疼痛がある。
病態生理
ウサギの消化器系組織への外傷性損傷は、挫傷・裂傷・骨折を含む直接的な機械的組織損傷を引き起こす。急性炎症反応により浮腫・出血・疼痛が生じる。二次合併症として細菌汚染・感染・治癒遅延がある。ウサギでは損傷からのストレスが追加の全身合併症を引き起こしうる。
治療
緊急 — 横隔膜ヘルニアは安定化後に外科的修復が必要。初期安定化: フェイスマスクまたはフローバイで酸素供給(保定ストレスを避ける)、前体部を挙上して胸腔への腹腔臓器圧迫を軽減。最小限のハンドリング — ウサギはストレスに極めて敏感。緊張性気胸または著明な胸水があれば胸腔穿刺。胸部X線で診断(横隔膜シルエット消失、腹腔臓器の胸腔内存在)。外科的修復: 腹部正中切開アプローチ、脱出臓器を腹腔内に愛護的に還納、臓器生存性を評価(腸管、肝臓、脾臓)、吸収性モノフィラメント縫合糸で横隔膜裂孔を閉鎖。開胸手術中は間欠的陽圧換気(IPPV)が必要。N2Oは使用しない。修復後に著明な気胸があれば胸腔ドレーン留置。周術期抗菌薬: エンロフロキサシン 10-20 mg/kg SC(経口ペニシリンは絶対禁忌)。疼痛管理: ブプレノルフィン 0.01-0.05 mg/kg SC/IM q6-8h + メロキシカム 0.3-1.0 mg/kg SC q24h。術後のGI stasis予防が極めて重要: チモシー牧草を直ちに提供、摂食しなければ強制給餌、メトクロプラミド 0.5-1.0 mg/kg SC q6-8h。保温(20-24℃)。呼吸数と呼吸努力を48-72時間注意深く監視。術後24時間および7日目に胸部X線。参考文献: Harcourt-Brown (2002), Quesenberry & Carpenter (2020). [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
外傷の予後は損傷の重症度と合併症の有無に依存する。軽度外傷は適切な創傷管理で予後良好。重度外傷、多発骨折、脊髄損傷は予後慎重〜不良。早期治療と適切な疼痛管理が回復を促進する。
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