気管ダニ症(ステルノストマ)
概要
気管吸啜ダニの気管・気嚢寄生で、聴取可能なクリック音と呼吸困難を引き起こす。
主な症状
原因
寄生虫(線虫・条虫・吸虫・原虫・外部寄生虫)の感染が直接的な原因である。感染経路には経口摂取、経皮侵入、節足動物媒介、中間宿主の捕食など極めて多様な様式がある。過密飼育、衛生管理不良、免疫抑制、定期的予防投薬の未実施が感染リスクを上昇させる。宿主の免疫状態と寄生虫負荷量が臨床症状の発現と重症度を決定する。
病態生理
寄生虫は宿主組織に物理的損傷を与え、栄養を奪取し、免疫応答を修飾する。消化管寄生虫は粘膜損傷・吸血・栄養吸収障害を引き起こす。組織移行期の幼虫は機械的組織破壊と好酸球性炎症を惹起する。寄生虫の分泌排泄産物は宿主免疫をTh2応答に偏向させ、Treg誘導により免疫回避を達成する。大量寄生では貧血・低蛋白血症・腸閉塞などの重篤な合併症が生じる。
治療
イベルメクチン0.2 mg/kg PO または頸静脈部皮膚への局所塗布、10-14日毎に最低3回反復投与(ダニの完全な生活環をカバー)。透過光診断: 鳥を明るい光源にかざす—気管内の暗い斑点がダニの集塊(セキセイインコのS. tracheacolumに高特異性)。重度呼吸困難: フローバイ酸素投与、滅菌生理食塩水ネブライゼーションで気管内デブリス・粘液を軟化。代替: モキシデクチンスポットオン。ダニ駆除後も残存肉芽腫反応により気管炎症が2-4週間持続する場合あり。二次的細菌性気管炎のモニタリング: 膿性分泌物があればエンロフロキサシン15 mg/kg PO q12h。無症候性個体を含む接触鳥全羽を治療—ダニは直接接触と吐き戻し給餌で伝播。慢性感染は不可逆的な気管瘢痕化を引き起こし、治療成功後もクリック音が永続する。環境清掃: 木製止まり木を廃棄(ダニが隙間に潜む)、滑らかなプラスチック製に交換。
予防
定期的な予防的駆虫プログラムの実施が最も効果的な予防策である。フィラリア予防薬の通年または季節的投与、ノミ・マダニ予防薬の定期使用、環境中の糞便の速やかな除去、中間宿主との接触制限が重要である。新規導入動物の糞便検査と駆虫処理、飼育環境の衛生管理、過密飼育の回避により寄生虫感染リスクを大幅に低減できる。
予後
適切な駆虫薬治療で予後良好。環境管理なしでは再感染の可能性あり。
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