停留精巣(陰睾)
概要
片方または両方の精巣が陰嚢に下降しない疾患で、腫瘍リスクが上昇します。
主な症状
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臨床徴候
犬における停留精巣(陰睾)の臨床徴候は生殖器病態により異なる。子宮蓋膿症: 多飲多尿・嘔吐・元気消失・腹部膨満・陰部分泌物(開放型)または無症候進行(閉鎖型)。乳腺炎: 乳房腫脹・疼痛・発熱・乳汁異常。前立腺疾患: 排尿困難・血尿・排便困難・後肢跛行。難産: 分娩遷延・努責持続・分娩間隔異常・母体ぐったり。妊娠中毒症: 終末期妊娠の元気消失・食欲不振・神経症状。
原因
遺伝性(多因子性)。トイ犬種・チワワ・ポメラニアン・ヨークシャーテリアに好発。片側性が多い(右>左)。6ヶ月齢までに下降しなければ停留と判断。
病態生理
片方/両方の精巣が陰嚢に下降しない→腹腔内/鼠径部に停留。停留精巣は腫瘍化リスク13.6倍(セルトリ細胞腫・セミノーマ)。捻転リスクも上昇。
診断
犬の停留精巣の診断は触診と超音波検査に基づく。触診: 陰嚢内に精巣が1個または0個。鼠径管部の触診で鼠径部停留の精巣を確認。腹部超音波: 腹腔内停留精巣の検出(腎臓尾側〜鼠径輪の範囲を検索)。低エコー卵円形構造。hCG/GnRH刺激試験: 去勢済みか停留精巣かの鑑別。テストステロン基礎値→GnRH投与後1hで上昇すれば精巣組織が存在。CT/MRI: 超音波で検出困難な腹腔内精巣の検索。腹腔鏡: 診断と同時に精巣摘出が可能。好発: チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、ミニチュアプードル、ミニチュアダックスフンド。片側が多い(75%)。停留精巣のセルトリ細胞腫/精上皮腫のリスクは正常の13倍。6ヶ月齢で下降未完了なら停留と診断。
治療
【犬における停留精巣(陰睾)】 停留精巣(陰睾)に対し、画像(超音波で卵管・子宮・卵巣・精巣評価)と内分泌値で病期を確認。 卵停滞・卵管脱・難産: オキシトシン 1-5 IU/kg IM(鳥1-3 IU/羽)、Ca補給、温熱、最終的に外科。 腫瘍性病変: 卵巣子宮全摘出または精巣摘出、組織病理で腫瘍型確定。 細菌性子宮蓄膿(pyometra): 緊急的卵巣子宮摘出(OHE)+輸液+抗菌薬。 再発予防のため避妊去勢手術(適応症例)を検討。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。
予防
停留精巣犬の去勢手術(必須、腫瘍化予防)。罹患犬の繁殖禁止。
予後
去勢術(停留精巣+対側正常精巣の両側摘出)が根治的で予後きわめて良好。腹腔内精巣は腹腔鏡下または開腹で摘出。腫瘍化前の早期去勢が推奨(6-12ヶ月齢)。停留精巣犬は遺伝性のため繁殖に使用しない。セルトリ細胞腫の骨髄抑制(汎血球減少)は予後不良因子 (Romagnoli SE. 1991)。
関連する薬品
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