腺胃拡張症(PDD/ボルナウイルス)
概要
鳥におけるウイルス性の消化器系疾患。前胃拡張症(PDD)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す鳥の他の疾患を確認できます
臨床徴候
鳥における前胃拡張症(PDD)の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
鳥におけるウイルス性の消化器系疾患。前胃拡張症(PDD)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
病態生理
鳥ボルナウイルス(ABV)の末梢神経叢感染→腺胃・筋胃の運動障害→腺胃拡張→食物停滞・吐出・未消化穀粒便→消耗。CNS型では運動失調・けいれん。
診断
X線検査(前胃の著明な拡張:proventriculus が占居性病変のように腹腔を占拠)。造影X線検査(バリウム通過遅延:前胃排出時間の延長)。鳥類ボルナウイルス(ABV)PCR検査(クロアカスワブ・血液、ただし間歇的排泄のため偽陰性に注意)。そのう生検(リンパ球性神経節神経炎の組織病理が gold standard)。CBC・生化学。消化管運動機能の低下により未消化穀物の糞便排泄(passing whole seeds)が臨床的に重要な所見。神経型では運動失調・痙攣を呈する。
治療
【鳥における腺胃拡張症(PDD/ボルナウイルス)】 腺胃拡張症(PDD/ボルナウイルス)に対する特異的抗ウイルス療法はほとんどの症例で確立されておらず、治療は支持療法と二次感染予防が中心。 二次性細菌感染予防: エンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h(培養感受性で再選択)。 感染個体は隔離(PCR陰性化まで)し、ケージ用具は次亜塩素酸1:10で消毒。 ワクチン未開発の疾患が多く、群管理では新規導入個体の検疫(最低30-45日)が予防の要。 支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては鳥の専門医紹介を考慮する。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
鳥における前胃拡張症(PDD)の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
ウイルスの種類と宿主免疫により異なる。軽症感染は支持療法で自然治癒することが多い。重症全身性ウイルス感染は予後要注意〜不良。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(鳥)
VetDictで鳥の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。