直腸脱
概要
直腸粘膜が肛門から突出する状態で、慢性下痢、コクシジウム症、いきみに続発します。
主な症状
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臨床徴候
ウサギにおける直腸脱の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
消化器系組織への物理的外傷が原因。転落・ケージ損傷・取扱い事故・同居個体や捕食者からの咬傷・環境危険物が一般的原因。ウサギの解剖学的特性が特定の損傷タイプへの素因となりうる。二次合併症として感染・治癒遅延・慢性疼痛がある。
病態生理
ウサギの消化器系組織への外傷性損傷は、挫傷・裂傷・骨折を含む直接的な機械的組織損傷を引き起こす。急性炎症反応により浮腫・出血・疼痛が生じる。二次合併症として細菌汚染・感染・治癒遅延がある。ウサギでは損傷からのストレスが追加の全身合併症を引き起こしうる。
診断
肛門からの腸粘膜脱出を視診で確認。脱出組織の色調・浮腫・壊死の評価が重要。直腸脱と結腸脱の鑑別にプローブ検査。CBC/生化学で脱水・電解質異常。腹部X線で結腸内の糞便貯留・腸管拡張。原因疾患の精査:腸管コクシジウム、大腸菌症、ジアルジア等の寄生虫・感染症検査。会陰部の汚染があればフライストライクのリスク評価。盲腸便の未摂取も素因となる。鑑別に子宮脱(雌)、膣脱、腸重積を考慮。再発予防のため原因疾患治療が必須。
治療
直腸脱の治療: 急性脱出(生存組織 — ピンク/赤色、壊死なし): 温生理食塩水で洗浄、局所砂糖(高張 — 15-30分で浮腫軽減)または50%デキストロース溶液浸漬ガーゼ。水溶性ジェルで潤滑し穏やかに用手整復。巾着縫合: 整復後、肛門周囲に部分巾着縫合(2-0または3-0ナイロン) — 糞便ペレットが通過できる大きさの開口部を残す。5-7日で抜糸。原因治療(再発予防に重要): 糞便検査で寄生虫確認 — コクシジウム症が幼若ウサギの#1原因: トルトラズリル25 mg/kg PO 1回(14日後再投与)またはスルファジメトキシン50 mg/kg PO 初日、以後25 mg/kg PO q24h×10-20日。慢性下痢/腸炎: TMS 30 mg/kg PO q12h×10-14日+メトロニダゾール20 mg/kg PO q12h。便秘/巨大結腸からのいきみ: シサプリド0.5-1.0 mg/kg PO q8-12h。壊死/非生存組織(暗紫/黒色): 全身麻酔下の外科的切除。術後: メロキシカム0.3-0.5 mg/kg PO q24h×5-7日。便軟化剤: ラクツロース0.5-1.0 mL/kg PO q12h×7-14日。エンロフロキサシン10 mg/kg PO q12h×7日。再発2回以上: 結腸固定術を検討。経口ペニシリン系は絶対禁忌。参考文献: Harcourt-Brown (2002); Jenkins (2012); Varga (2014).
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
外傷の予後は損傷の重症度と合併症の有無に依存する。軽度外傷は適切な創傷管理で予後良好。重度外傷、多発骨折、脊髄損傷は予後慎重〜不良。早期治療と適切な疼痛管理が回復を促進する。
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