チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)
概要
第三眼瞼(瞬膜)腺の脱出で、内眼角に平滑な赤〜ピンク色の腫瘤として現れる。犬に比べ猫でははるかにまれで、発生する場合はバーミーズに多い。脱出した腺は水性涙液の相当量を産生するため、乾性角結膜炎の誘発を避ける目的で、切除ではなく外科的整復(戻す手術)が推奨される。
主な症状
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臨床徴候
猫におけるチェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)の臨床徴候は罹患部位(角膜・結膜・前房・水晶体・網膜)と病態により異なる。結膜炎: 結膜充血・分泌物・流涙・眼瞼痙攣。角膜潰瘍: 流涙・眼瞼痙攣・羞明・角膜混濁(蛍光染色陽性)。緑内障: 急性眼痛・角膜浮腫・散瞳・眼球膨大・視覚消失。白内障: 水晶体混濁による進行性視覚障害。網膜疾患: 夜盲先行の進行性視覚障害(PRA等)・急性視覚消失(網膜剥離)。
原因
第三眼瞼腺を眼窩骨膜に固定する結合組織の先天的または後天的脆弱化により、腺が反転・脱出する。バーミーズで品種素因が報告される。慢性結膜炎症と関連することがある。ホルネル症候群や眼窩疾患による第三眼瞼突出とは区別される。
病態生理
第三眼瞼腺を腹側眼窩縁に係留する結合組織が脆弱なため、腺が瞬膜の遊離縁を越えて反転・脱出する。露出した腺組織は乾燥と機械的刺激で充血・腫脹し、二次的な結膜炎を生じる。脱出が遷延すると腺のうっ血・線維化が進み、涙液(水性層)の産生が低下する。腺を切除すると将来的に乾性角結膜炎(KCS)を発症するリスクが高いため、腺を温存して整復することが病態生理上重要である。
診断
猫第三眼瞼腺脱出(チェリーアイ)の診断は内眼角からの赤色〜ピンク色の腫瘤状突出を視診で確認。猫では犬に比べ非常に稀。細隙灯検査で結膜炎の併発と角膜への影響を評価。シルマー涙液試験で涙液産生を確認(第三眼瞼腺は涙液の30-40%を産生)。鑑別:第三眼瞼の腫瘍(SCC、リンパ腫)、脂肪脱出、結膜過形成。腫瘍の除外のため、異常な外観の場合は生検を検討。治療:ポケット法(Morgan法)による整復が第一選択。腺の切除は乾性角結膜炎のリスクがあり避ける。
治療
イソフルラン麻酔下での外科的整復(Morgan ポケット法など)が第一選択。腺は絶対に切除しない(乾性角結膜炎KCSのリスク)。術後はオフロキサシン0.3%点眼 q6-8h×7-14日、必要に応じヒアルロン酸点眼で表面保護。エリザベスカラー10-14日装着。再脱出時は再固定を検討。猫ではまれで、発生時はバーミーズに多い。基礎の慢性結膜炎があれば併せて治療する。
予防
明確な予防法はないが、慢性結膜炎の適切な管理と、片眼発症例での対側眼の経過観察が望ましい。素因のある血統では責任ある繁殖を考慮する。
予後
外科的整復で予後良好。腺を温存すれば涙液産生も維持される。整復後の再脱出や、未治療放置・腺切除例では乾性角結膜炎を続発しうる。
関連する薬品
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