心血管系真菌性疾患(猫)
概要
免疫抑制猫(FeLV/FIV感染、長期ステロイド投与)でクリプトコッカス、アスペルギルス、カンジダ等の真菌が血行性に播種し心血管系に定着する。真菌性心内膜炎は弁に大きな疣贅を形成し塞栓リスクが高い。心筋への直接浸潤による収縮力低下や、血管炎による血管脆弱性も報告される。抗真菌薬(イトラコナゾール・アムホテリシンB)の長期投与が必要だが予後不良で、早期診断が転帰を左右する。
主な症状
原因
Aspergillus属(主にA. fumigatus、A. niger)の胞子吸入が原因である。環境中に広く存在する日和見真菌であり、免疫抑制状態、長期抗菌薬使用による菌交代現象、ビタミンA欠乏、ストレス、不適切な換気による胞子濃度の上昇が発症リスクを高める。鳥類では気嚢システムが感染拡大の場となる。
病態生理
アスペルギルス、クリプトコッカス、カンジダなどの真菌が血行性に播種し、心内膜、心筋、大血管を含む心血管系に定着します。これにより真菌性心内膜炎、心筋炎、血管炎が引き起こされ、弁膜の疣贅形成、血栓塞栓症、進行性の心機能障害をもたらします。炎症反応と直接的な組織侵入により心拍出量が低下し、他臓器への全身播種が生じる可能性があります。
治療
クリプトコッカス症: イトラコナゾール5-10 mg/kg PO q12-24h — 第一選択。 最低2ヶ月 + LCAT陰性化後1-2ヶ月継続。 フルコナゾール50 mg/猫 PO q12-24h(CNS浸潤時 — 髄液移行性良好)。 アムホテリシンB 0.5-0.8 mg/kg IV q48h(重症例 — 腎毒性注意)。ヒストプラズマ症: イトラコナゾール5-10 mg/kg PO q12h × 4-6ヶ月。アスペルギルス症: ボリコナゾール5-6 mg/kg PO q12h(猫での報告限定的)。心不全管理: フロセミド、ベナゼプリル(併発時)。モニタリング: LCAT(クリプトコッカス)、肝機能(アゾール系薬の肝毒性)。予後: クリプトコッカス鼻腔型は比較的良好。全身播種・心筋浸潤は予後不良。
予防
清潔で乾燥した飼育環境の維持が基本的予防策である。感染動物との直接接触の回避、汚染された環境の徹底的な消毒、過密飼育の回避が重要である。免疫抑制状態にある動物では特に注意が必要であり、長期ステロイド投与中は真菌感染のリスクが上昇する。新規導入動物の検疫と皮膚糸状菌培養検査の実施が集団発生の予防に有効である。
予後
予後は真菌の種類、感染部位、宿主の免疫状態、治療への反応性に依存する。表在性真菌感染は適切な抗真菌療法により予後良好であるが、深在性・全身性真菌感染では治療が長期化し予後が慎重となる。免疫抑制動物では治療反応が乏しく再発率が高い。完全な治癒には数週間から数ヶ月の継続治療が必要であり、培養陰性化の確認が治療終了の指標となる。
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