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💉 リクガメの鎮静・麻酔プロトコル

Tortoise — 8プロトコル

概要:リクガメは甲羅のため心臓の聴診・モニタリングが困難。肺が甲羅の背側に位置するため、腹臥位で圧迫されない。注射は前肢の皮下または筋肉内。覚醒が非常に遅い(6-24時間)。
⏱ 絶食・絶水:24-48時間絶食(消化管通過が極めて遅い)。

鎮静 Sedation

鎮静(検査・軽処置) 低リスク
薬品用量経路備考
ミダゾラム 1-2 mg/kg IM (forelimb) 前肢筋肉内。四肢を甲羅から引き出すための軽度鎮静。フルマゼニルで拮抗可。
アルファキサロン(低用量) 3-5 mg/kg IM (forelimb) 低用量で鎮静。頭部・四肢を引き出して検査。効果発現まで忍耐が必要。
📝 リクガメの検査は甲羅から頭・四肢を引き出す必要がある。鎮静なしでは困難な場合が多い。POTZ(26-32°C)維持が効果発現に不可欠。全注射は前肢に(腎門脈系回避)。

前投薬 Premedication

前投薬 低リスク
薬品用量経路備考
ミダゾラム+ブトルファノール 1-2 mg/kg + 0.5-1 mg/kg IM (forelimb) 前肢にIM。効果発現が遅いため忍耐が必要。POTZ(26-32°C)維持。
📝 リクガメは四肢を甲羅に引っ込めるため、注射のタイミングは鎮静後が理想。POTZ維持が薬効発現の前提。

導入 Induction

鎮静・麻酔 中リスク
薬品用量経路備考
アルファキサロン 10-15 mg/kg IM (forelimb) / IV (jugular) リクガメで最も推奨される注射麻酔薬。小〜中型個体では第一選択。前肢筋肉内注射。頸静脈からのIVも可能だが確保困難。効果発現まで忍耐が必要(20-30分かかることも)。
ケタミン+メデトミジン 10-20 mg/kg + 0.1-0.15 mg/kg IM 深い鎮静。アティパメゾールで部分拮抗。四肢を甲羅から引き出すのに十分な筋弛緩。
イソフルラン(維持) 1-3% ET tube 注射麻酔で導入後、気管挿管して吸入維持。リクガメの声門は舌の付け根。
📝 リクガメの頭を甲羅から引き出すのが導入の指標。完全に四肢が弛緩するまで待つ。POTZ: 26-32°C(種による)。

維持 Maintenance

維持(吸入麻酔) 中リスク
薬品用量経路備考
イソフルラン 1-3% ET tube 注射導入後に気管挿管して吸入維持。リクガメの声門は舌の付け根。非カフETチューブ使用。IPPV(2-4回/min)が多くの場合必要。
📝 リクガメの肺は甲羅の背側に位置。腹臥位(甲羅を上にした通常姿勢)で換気に問題はない。POTZ低い方で維持(代謝抑制)。体温管理は水を入れたグローブまたは低温保温マットで。

局所・区域麻酔 Local/Regional

局所麻酔 低リスク
薬品用量経路備考
リドカイン Max 5 mg/kg Local infiltration 創傷修復、甲羅修復時の鎮痛に。効果発現が哺乳類より遅い場合あり。前肢に注射(腎門脈系回避)。
📝 リクガメの甲羅には神経が通っており、甲羅修復は痛みを伴う。局所浸潤麻酔で甲羅縁の鎮痛を補強。術後鎮痛: メロキシカム0.2-0.4 mg/kg IM q24-48h。

モニタリング Monitoring

モニタリング・回復 低リスク
📝 覚醒は6-24時間かかる。POTZ上限に加温。気管チューブは覚醒まで維持。四肢引っ込め反射、頭部引っ込め反射で覚醒判定。

覚醒 Recovery

覚醒・回復 中リスク
薬品用量経路備考
アティパメゾール 5x medetomidine dose IM (forelimb) メデトミジン使用時。前肢にIM。
📝 覚醒は6-24時間以上。POTZ上限(30-32°C)に加温。気管チューブは正向反射回復まで維持。四肢引っ込め反射→頭部引っ込め反射→自発呼吸の順に回復。覚醒後は浅い水場を提供(脱水予防)。

緊急対応 Emergency

緊急対応 高リスク
薬品用量経路備考
エピネフリン 0.1-0.5 mg/kg IC/IV CPA時。心臓内(IC)投与が最も効果的。爬虫類の心臓は3室。
ドキサプラム 5-10 mg/kg IV/IM 呼吸停止時。爬虫類は長時間無呼吸が可能なため、真の呼吸停止かの判断が重要。
📝 爬虫類のCPR: IPPV(2-4回/min)が最重要。心臓マッサージは腹腔側から。低体温の個体はPOTZ上限まで加温してから判断(低体温で死亡に見えても回復することがある)。

📚 参考文献(リクガメ全般)

  • Heard D. Reptile anesthesia. In: Mader DR, Divers SJ, eds. Current Therapy in Reptile Medicine and Surgery. Elsevier; 2014:217-238.
  • Longley LA. Anaesthesia of Exotic Pets. Saunders Elsevier; 2008.
  • Schumacher J, Yelen T. Anesthesia and analgesia. In: Mader DR, ed. Reptile Medicine and Surgery. 2nd ed. Saunders Elsevier; 2006:442-452.
  • West G, Heard D, Caulkett N, eds. Zoo Animal and Wildlife Immobilization and Anesthesia. 2nd ed. Wiley-Blackwell; 2014.

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※ 本ページの麻酔プロトコル・用量は獣医学的参考資料であり、麻酔管理の代替ではありません。各症例のASA分類・併存疾患を評価し、必ず獣医師の判断のもとで実施してください。
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