スピロルキス吸虫感染症
概要
ウミガメのスピロルキス血液吸虫による多臓器肉芽腫性疾患。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す爬虫類の他の疾患を確認できます
臨床徴候
爬虫類における吸虫感染の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
スピロルキド吸虫(住血吸虫)による感染。主にウミガメ(全種)と一部の淡水ガメに影響。巻貝中間宿主を含む複雑な生活環。水生環境でセルカリアが皮膚を貫通して感染。
病態生理
成虫は心血管系(心臓、大血管)に生息する。心内膜炎、血管炎、血栓塞栓性疾患を引き起こす。虫卵は様々な臓器(脳、肺、消化管、腎臓)に沈着し肉芽腫を形成。虫卵塞栓が主要な病原機序で、臓器機能障害と神経学的徴候を引き起こす。
診断
糞便沈殿法(吸虫卵は比重が大きく浮遊法では検出困難)で蓋付き虫卵を検出。口腔・咽頭の直接観察で舌下〜咽頭部の吸虫体を肉眼確認(Ochetosomatidae等)。X線・超音波で肝臓・肺の吸虫嚢胞を評価。CBC(ヘテロフィル・好酸球増多→寄生虫反応)、血液生化学(AST上昇→肝実質障害)。病理組織検査で肝・肺・腎の肉芽腫内に吸虫体・虫卵を確認(確定診断)。飼育環境での中間宿主(巻貝)との接触歴の聴取が疫学的に重要。
治療
プラジカンテル8-25 mg/kg PO/IM、2週間後に反復。重度感染にはより高用量(25-50 mg/kg)が必要な場合あり。衰弱動物への支持療法。肉芽腫性炎症への抗炎症療法。治療は虫体負荷を減少させるが組織内の全虫卵を排除できない場合がある。
予防
野生/半野生環境では困難。管理された水生生息地での巻貝個体数の最小化。飼育ウミガメの定期的な健康スクリーニング。
予後
要注意。脳と臓器の広範な虫卵肉芽腫を伴う慢性感染は予後不良。軽度感染は治療に反応しうる。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(爬虫類)
VetDictで爬虫類の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。