ヘリコバクター胃炎
概要
フェレットにおける細菌性の消化器系疾患。ヘリコバクター胃炎は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
フェレットにおけるヘリコバクター胃炎の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
フェレットにおけるヘリコバクター胃炎の原因: ほぼ全てのフェレットがヘリコバクター菌を保有しており、ストレス等で胃炎・胃潰瘍を発症します。
病態生理
ヘリコバクターはウレアーゼで胃酸を中和して胃粘膜に定着し、慢性胃炎・リンパ濾胞過形成・嘔吐を起こす。一部は胃潰瘍やリンパ腫との関連が示唆される。
診断
慢性嘔吐・食欲不振・体重減少・黒色タール便(上部消化管出血)から疑診。フェレットはH. mustelaeの自然宿主で、ほぼ100%が保菌。内視鏡検査で胃粘膜の発赤・びらん・潰瘍を直視し生検。組織病理でWarthin-Starry銀染色またはGiemsa染色でらせん菌を確認。ウレアーゼ迅速試験(CLOtest)。糞便PCR。CBC(貧血→慢性出血)、生化学。鑑別:消化管異物、消化管リンパ腫、ECE、膵炎。ストレス時に発症・増悪。
治療
3剤併用療法(ゴールドスタンダード):アモキシシリン20-30mg/kg PO q8h+メトロニダゾール20mg/kg PO q8h+次サリチル酸ビスマス17.5mg/kg(0.25mL/kg)PO q8h 14-21日間。代替3剤:クラリスロマイシン12.5mg/kg PO q8h+オメプラゾール4mg/kg PO q24h+アモキシシリン20-30mg/kg PO q8h 14日間。胃酸抑制:オメプラゾール4mg/kg PO q24h(PPI—最も効果的な酸抑制)、またはファモチジン0.5-1.0mg/kg PO/SC q12h(H2ブロッカー)。スクラルファート:25-100mg/kg PO q6-8h(食前30分—潰瘍粘膜を被覆;他の経口薬と同時投与しないこと—吸収阻害)。消化管出血(黒色便/タール便):胃潰瘍を示唆—スクラルファート+オメプラゾール追加。重度出血時:SC輸液LRS 60-80mL/kg/日、PCV<20%なら輸血検討。疼痛管理:歯ぎしり(ブラキシズム)と流涎は重大な胃痛を示唆—ブプレノルフィン0.01-0.03mg/kg SC q8-12h 3-5日間。栄養サポート:食欲不振時は高蛋白回復食(Carnivore CareまたはA/D)のシリンジ給餌、少量頻回給餌(q4-6h)、コーン/穀物フィラー含有キブル回避(胃粘膜刺激)。重要:H. mustelaeはフェレットに常在(有病率ほぼ100%)—症状がある場合のみ治療。除菌は困難で再発が一般的。治療後モニタリング:臨床徴候(歯ぎしり・黒色便)の消失を7-10日以内に確認。21日コース後も持続する場合は再検。
予防
フェレットにおけるヘリコバクター胃炎の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
フェレットにおけるヘリコバクター胃炎の予後は原因病態・脱水と電解質異常の程度・治療開始時期により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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