敗血症
概要
爬虫類における細菌性の多臓器/全身疾患。敗血症は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
爬虫類における敗血症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
未治療の創傷、火傷、口内炎、肺炎、その他の限局性感染の全身播種に続発。主な起因菌:シュードモナス、アエロモナス、クレブシエラ、サルモネラ、プロテウス。不適切な飼育管理による免疫抑制が素因。
病態生理
細菌が原発感染部位から血流に侵入し全身性に増殖する。細菌の内毒素(グラム陰性菌)または外毒素が全身性炎症反応症候群(SIRS)、播種性血管内凝固(DIC、点状/斑状出血)、低血圧、多臓器不全を引き起こす。腹側皮膚の発赤(紅斑)は爬虫類の典型的な初期徴候。
診断
活動性低下・食欲廃絶・点状出血(口腔粘膜・腹甲)の臨床評価。CBC(ヘテロフィル著増・左方移動・トキシックチェンジ)・生化学(尿酸上昇・AST/CK上昇)で全身性炎症と臓器障害を評価。血液培養による起因菌の同定と感受性試験が治療選択に必須。爬虫類の敗血症はグラム陰性菌(Pseudomonas・Aeromonas・Salmonella)が多い。原発巣の検索として口腔・皮膚・総排泄腔・呼吸器のスワブ培養を実施する。
治療
【爬虫類における敗血症(爬虫類)】 敗血症(爬虫類)は培養感受性試験を診療指針とし、empiricalにはエンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h またはアモキシシリン・クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h(小型哺乳類除く)を開始。 膿瘍形成例は外科的切開・排膿・洗浄(生食または0.05%クロルヘキシジン)が抗菌薬単独より治癒率高い。 発熱・全身症状時は炎症マーカー(SAA、CRP)と血液培養。 再発リスクの高い症例ではバイオフィルム形成菌(Pseudomonas, Staphylococcus pseudintermedius MRSP)を疑い、長期抗菌薬を6-8週継続。 具体的な薬剤目安: bolus 10-20 mL/kg、Enrofloxacin 5-10 mg/kg IV、metronidazole 15 mg/kg IV、ceftazidime 20 mg/kg IM。 支持療法(爬虫類): 種別POTZ(preferred optimum temperature zone)維持が免疫機能回復の前提条件。輸液 25-30 mL/kg/日 SC/ICe(ノルモソルR、温熱)、強制給餌(Carnivore Care 等)、メロキシカム 0.2-0.5 mg/kg PO/IM q24-48h(NSAID持続投与時は腎機能をモニタ)。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては爬虫類の専門医紹介を考慮する。
予防
爬虫類における敗血症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
POTZ維持下での抗菌薬(セフタジジム20 mg/kg IM q72h、前半身投与)+支持療法(輸液、保温、強制給餌)で予後注意。感染源の特定と治療が予後改善の鍵。口内炎の早期デブリドマン+局所消毒が敗血症への進展予防に最重要。飼育環境の改善(POTZ維持、適切な湿度、清潔な基質)が根本予防 (Mader DR. 2019)。
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