乳頭腫症
概要
ヘルペスウイルス関連の総排泄腔、口腔、皮膚の乳頭腫。
主な症状
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臨床徴候
インコにおける内臓乳頭腫症の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
インコにおけるパピローマウイルス感染の原因: パピローマウイルスによる乳頭腫。口腔・総排泄腔に好発。
病態生理
内臓乳頭腫症はパピローマウイルスによる消化管内(胆管・膵管・クロアカ)の乳頭腫性病変。大型オウム類で報告が多いが、インコでも発生する。胆管乳頭腫では胆汁うっ滞・肝酵素上昇、膵管乳頭腫では消化不良、クロアカ乳頭腫では排泄障害を引き起こす。内視鏡で病変を確認し生検で確定。外科切除が困難な深部病変は対症療法が中心。悪性転化(扁平上皮癌化)のリスクがあり長期モニタリングが必要。
診断
内視鏡検査(消化管・総排泄腔の直視→粘膜表面の乳頭状病変の確認・生検採取)。生検・病理組織検査(上皮の乳頭状過形成パターン・悪性転化の有無を評価)。ウイルスPCR(鳥パピローマウイルス・ヘルペスウイルスの同定)。全身X線/CT(消化管内腫瘤・閉塞性病変の評価)。CBC・血液生化学(全身状態・栄養状態の評価)。鑑別:消化管腺癌・肉芽腫・異物・カンジダ症の増殖性病変。内臓型は消化管閉塞や吸収不良を引き起こし悪性転化リスクもある
治療
セキセイインコの乳頭腫症 — オウム類ヘルペスウイルス(PsHV)による総排泄腔粘膜、口腔、まれに皮膚の疣状・有茎性または無茎性乳頭腫。扁平上皮癌への悪性転化リスクあり。セキセイインコではアマゾンオウムやコンゴウインコより少ない。【診断】: 生検と病理組織検査(空胞細胞=ウイルス細胞変性効果を伴う上皮過形成)。オウム類ヘルペスウイルスPCR。【外科的切除(主要治療)】: イソフルラン麻酔下でラジオサージャリー(推奨 — 出血を最小化しクリーンなマージンを確保)、CO2レーザー、または電気焼灼止血付き鋭利切除で乳頭腫を切除。小さな総排泄腔乳頭腫には硝酸銀スティックによる化学的焼灼 — 穏やかな清拭後に病変に直接適用。【凍結療法】: 表在性病変に液体窒素または亜酸化窒素クライオプローブ — 2回の凍結融解サイクル。【再発】: 多い(ウイルスはヒトヘルペスウイルスと同様に神経節に潜伏持続)— 切除後の再発率約30-60%。必要に応じて再切除。【口腔乳頭腫】: 採食を障害 — 切除またはデバルキング。毎回の検査で口咽頭と後鼻孔を確認。【総排泄腔乳頭腫】: しぶり、血便、二次的脱出を引き起こしうる。q3-6ヶ月で定期的総排泄腔検査。【悪性転化モニタリング】: 急速増大、深部組織浸潤、外観変化があれば再生検で扁平上皮癌を除外。【支持療法】: 切除後メロキシカム0.5 mg/kg PO q12-24h×3-5日間。切除部位の二次細菌感染にエンロフロキサシン15 mg/kg PO q12h×5-7日間。【隔離】: ウイルスは間欠的に排出 — 罹患鳥を非感染群から分離。ストレスが再活性化と排出を誘発。【予後】: 管理には普通、悪性転化では要注意。生涯モニタリングが必要。参考: Styles DK et al. (2004) Vet Pathol; Phalen DN (2006) Vet Clin North Am Exot Anim Pract.
予防
適切な飼育管理、定期的な獣医師による健康診断、適正な栄養、ストレスの最小化、安全で清潔な飼育環境の維持により予防可能である。
予後
インコにおける内臓乳頭腫症は良性腫瘍で、外科的完全切除により治癒が期待でき予後は良好。切除困難な部位・高齢・基礎疾患で麻酔リスクが高い場合は経過観察も選択肢となる。不完全切除では局所再発がありうるため切除マージンの病理評価が望ましい。急速な増大・出血・潰瘍化を認める場合は悪性転化を疑い再評価する。
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