総排泄腔乳頭腫症(インコ)
概要
総排泄腔内の乳頭腫性増殖でしぶり、出血、脱出の可能性がある。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すインコの他の疾患を確認できます
臨床徴候
インコにおけるオウム目痘瘡ウイルスの臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
鳥痘ウイルス(アビポックスウイルス)の感染による。吸血昆虫(蚊)や皮膚の傷、汚染物を介して伝播する。
病態生理
ポックスウイルスは上皮で複製し、皮膚型では無羽部の増殖性結節(乾性痘)、ジフテリー型では口腔・気道粘膜の偽膜(湿性痘)を形成して摂食・呼吸を妨げる。
診断
皮膚・粘膜の痘疹病変(結節性・痂皮性の皮膚病変、口腔・気道のジフテリア型病変)を視診で確認。病変部スワブのPCR検査でPoxvirus DNAを検出。電子顕微鏡でポックスウイルス粒子を確認。病変部の組織生検でBollinger体(好酸性細胞質内封入体)を確認し確定診断。CBC で白血球変動を確認。インコ類ではオウム目ポックスウイルスは皮膚型(嘴基部・蝋膜・脚の結節)とジフテリア型(口腔・気道の偽膜性病変)があり、蚊が主要媒介者。ジフテリア型は気道閉塞で致死的となりうる。
治療
総排泄腔乳頭腫症はしぶり、血便、肛門部のイボ状腫瘤として現れる。麻酔下の総排泄腔検査で範囲を評価。外科的除去: 拡大下での電気焼灼またはラジオサージェリー — 総排泄腔括約筋機能を温存するよう注意。小病変には硝酸銀焼灼。総排泄腔脱を伴う場合: まず脱出に対処(陰茎/総排泄腔脱の項参照)。生検が不可欠 — 総排泄腔扁平上皮癌(SCC)との鑑別(悪性転化の可能性)。メロキシカム0.5 mg/kg PO q12-24hで疼痛/炎症管理。エンロフロキサシン15 mg/kg PO q12h術後予防的投与。再発をモニタリング — 再発率は高い(>50%)。セレコキシブ10-20 mg/kg PO q12-24hが乳頭腫再成長抑制に実験的に使用。大型オウム類ではPsittacidヘルペスウイルス(PsHV-1)と関連 — セキセイインコにも影響しうる。繁殖コロニーから罹患鳥を隔離。肛門周囲を清潔に保つ — 汚れた肛門は二次感染の素因。参考文献: Phalen 2006, Styles et al. 2004。
予防
インコにおけるオウム目痘瘡ウイルスの予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
疾患の重症度、治療開始の早さ、治療反応により異なる。早期の適切な治療介入で一般に予後改善。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
その他の他の疾患(インコ)
VetDictでインコの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。