蝋膜肥大(褐色肥大症)
概要
雌セキセイインコの蝋膜の過剰角化成長で、鼻孔を閉塞する可能性がある。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すインコの他の疾患を確認できます
原因
インコにおけるろう膜肥大の原因は必須栄養素の不足・過剰・不均衡である。不適切な食事組成、吸収障害、代謝異常、需要増大(成長期・妊娠期・泌乳期)が関与する。ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸・必須脂肪酸の不均衡は骨格発育異常、免疫機能低下、皮膚・被毛変化、繁殖障害として顕在化する。市販総合栄養食の品質、手作り食の栄養バランス、サプリメントの過剰補給、種特異的要求(猫のタウリン、モルモットのビタミンC、爬虫類のカルシウム/UV-B)の理解不足が主要リスク。(インコは気嚢システムを持ち、ストレスで急変する)
病態生理
インコにおけるろう膜肥大の病態生理は必須栄養素不足・過剰による生化学的経路障害に基づく。カルシウム/リン不均衡では二次性副甲状腺機能亢進症により骨吸収促進・骨軟化・病的骨折が生じる。ビタミン欠乏は各ビタミン関与酵素反応の障害により特異的臨床症候群を引き起こす(ビタミンA欠乏: 視覚障害、ビタミンB1欠乏: 神経症状)。タンパク質-エネルギー栄養障害では異化亢進、筋萎縮、免疫機能低下、創傷治癒遅延を生じる。栄養素過剰では肝胆道・腎の代謝負荷増大、毒性発現(脂溶性ビタミン過剰)を引き起こす。
治療
通常は雌セキセイインコの美容的/ホルモン性疾患—鼻孔閉塞による呼吸障害がある場合のみ治療が必要。ミネラルオイルまたは温水湿布で過角化蝋膜組織を10-15分間軟化してから除去。鼻孔閉塞時はイソフルラン麻酔下でカーブドシザーまたはメスで余分な角化組織を穏やかに減量—出血するため過度の除去は避ける。褐色組織の完全除去を試みない—再成長する。重度のホルモン性要素が疑われる場合デスロレリン4.7 mg SCインプラント(過剰エストロゲンが蝋膜肥大を促進)。光周期調整: 明期10-12h/暗期12-14hでエストロゲンレベルを低減。疥癬ダニ(Knemidocoptes)との鑑別: ダニ病変は蝋膜と嘴周囲の痂皮性/増殖性でハニカム状トンネルあり、褐色肥大は蝋膜のみの滑らかでワックス状の角化。雄セキセイインコの蝋膜が褐色に変化した場合は精巣腫瘍を除外(セルトリ細胞腫がエストロゲンを産生)。呼吸機能をモニタリング—セキセイインコは絶対的経鼻呼吸者のため重度の鼻孔閉塞は重要。美容的懸念としての予後は優良、鼻孔管理で良好。
予防
インコにおけるろう膜肥大の予防は種特異的な栄養要求量に基づく適切な食事提供が基本。商業用総合栄養食の利用(AAFCO基準準拠)、手作り食の場合は獣医栄養学専門医による栄養設計、成長期・妊娠期・泌乳期の特殊要求対応。草食動物(モルモット)のビタミンC、爬虫類のカルシウム/UV-B、猫のタウリン、フェレットの動物性タンパク質など、種特異的要求の理解。サプリメント過剰摂取の回避(特に脂溶性ビタミン)。
予後
美容的懸念としては予後優良。鼻孔閉塞が発生した場合は鼻孔管理で良好。ホルモン駆動性疾患のため再発が予想される。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
その他の他の疾患(インコ)
VetDictでインコの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。