回虫症(アスカリディア)
概要
鳥における寄生虫性の消化器系疾患。回虫(アスカリジア)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
鳥における回虫(アスカリジア)の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
鳥の回虫症は消化管内寄生線虫(イヌ回虫 Toxocara canis/ネコ回虫 T. cati/馬回虫 Parascaris 等)による。虫卵の経口摂取、経乳・経胎盤感染、待機宿主の捕食で感染する。
病態生理
幼虫は体内移行(肝・肺)を経て小腸で成虫となり、栄養を奪って発育不良・腹部膨満・削痩・下痢を起こす。多数寄生では腸閉塞・腸穿孔を招き、幼虫移行はヒトの内臓幼虫移行症の原因ともなる。
診断
糞便の直接鏡検・浮遊法(Ascaridia 虫卵の検出:大型で厚殻の楕円形虫卵)。鳥類の糞便は尿酸塩(白色部分)と消化管排泄物(暗色部分)が混合されるため、暗色部分を選択的に採材する。CBC(好酸球増多は通常見られないが、ヘテロフィル増多は合併感染を示唆)・生化学。X線検査(重度感染では腸管拡張・虫体陰影)。成虫は2-10 cmの白色線虫で、直接生活環のため糞便汚染環境で容易に再感染する。幼鳥では重度感染が腸閉塞・穿孔に至ることがある。
治療
【鳥における回虫症(アスカリディア)】 回虫症(アスカリディア)は糞便PCR/直接鏡検/フローテーション法で原因虫種を特定してから駆虫薬を選択する。 Coccidia: トルトラズリル 20-30 mg/kg PO single または 2連続日。 Nematodes: フェンベンダゾール 20-50 mg/kg PO q24h × 3-5日。 Cestodes / Trematodes: プラジカンテル 5-10 mg/kg PO/SC 1回(必要に応じ2週後反復)。 Ectoparasites: イベルメクチン 0.2-0.4 mg/kg SC(適応外注意、Collie系・チンチラ・ウサギは禁忌or慎重)。 全ライフサイクルカバーのため2-3週後反復投与+環境消毒(蒸気洗浄、寝床完全交換)。 支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては鳥の専門医紹介を考慮する。
予防
鳥における回虫(アスカリジア)の予防は定期的駆虫・媒介動物制御・環境衛生の3本柱。消化管寄生虫: 子犬子猫は2-4週齢から繰返し駆虫、成獣は便検査結果に基づく定期投与。心血管寄生虫(フィラリア): 流行地での年間予防投与(イベルメクチン・ミルベマイシン等)。外部寄生虫: 月1回の外部寄生虫予防薬投与、環境清掃。散歩後のダニチェック、媒介動物(ダニ・蚊・ノミ)の生息環境改善も重要。
予後
鳥における回虫(アスカリジア)の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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