パラミクソウイルス感染症
概要
鳥におけるウイルス性の神経系疾患。パラミクソウイルス感染は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
鳥におけるパラミクソウイルス感染の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
鳥のパラミクソウイルス感染症(ニューカッスル病=鳥パラミクソウイルス1型が代表)による。感染鳥の分泌物・糞や汚染物を介した接触・吸入で伝播する。
病態生理
鳥のパラミクソウイルス(PMV)感染はAvian paramyxovirus(APMV)による神経〜呼吸器疾患で、APMV-1(ニューカッスル病ウイルス/NDV)が最も臨床的に重要。NDVは家禽で壊滅的被害を引き起こし、家畜伝染病予防法の対象。病原性分類:velogenic(致死率>90%)、mesogenic(中等度)、lentogenic(軽度/ワクチン株)。ペット鳥では神経型が多く、斜頸・旋回・脚麻痺・star gazing を呈する。ハト由来のPMV-1(pigeon paramyxovirus/PPMV-1)はペット鳥への感染源として重要 (Alexander DJ & Senne DA. Diseases of Poultry, 12th ed, 2008)。
診断
神経症状(斜頸・旋回・振戦・麻痺)・呼吸器症状・緑色下痢の臨床評価。クロアカルスワブ・咽喉スワブのRT-PCRでAvian Paramyxovirus(APMV)RNAを検出。HI試験(赤血球凝集抑制試験)で抗体価を測定(ペア血清で4倍以上の上昇が有意)。CBC(採血量≤体重の1%)でリンパ球減少・ヘテロフィル増加を確認。血液生化学でAST上昇・LDH上昇(臓器障害)を評価。神経症状を呈する個体ではX線で消化管イレウスを検索。剖検例では脳・脊髄の病理組織検査で非化膿性脳炎を確認
治療
【鳥におけるパラミクソウイルス感染症】 パラミクソウイルス感染症は培養感受性試験を診療指針とし、empiricalにはエンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h またはアモキシシリン・クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h(小型哺乳類除く)を開始。 膿瘍形成例は外科的切開・排膿・洗浄(生食または0.05%クロルヘキシジン)が抗菌薬単独より治癒率高い。 発熱・全身症状時は炎症マーカー(SAA、CRP)と血液培養。 再発リスクの高い症例ではバイオフィルム形成菌(Pseudomonas, Staphylococcus pseudintermedius MRSP)を疑い、長期抗菌薬を6-8週継続。 支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては鳥の専門医紹介を考慮する。
予防
鳥におけるパラミクソウイルス感染の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
velogenic NDVは致死率>90%で予後きわめて不良。lentogenic/mesogenic型は支持療法で回復可能な場合がある。神経症状は回復しても残存することがある(永続的な斜頸)。【法定伝染病】NDVは家畜伝染病予防法の対象で、疑い時は届出義務。家禽用ワクチン(生/不活化)が利用可能。ハトとの接触回避がペット鳥の予防に有効 (Alexander DJ & Senne DA. 2008)。
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