ビタミンA欠乏症
概要
インコにおける栄養性の内分泌/代謝疾患。ビタミンA欠乏症は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
インコにおけるビタミンA欠乏症の臨床徴候は欠乏または過剰の栄養素により特異的パターンを示す。カルシウム不足: 骨軟化・病的骨折・痙攣・成長不良。ビタミンA不足: 眼疾患・皮膚角化異常・夜盲・繁殖障害。ビタミンC不足(モルモット): 関節腫脹・出血傾向・歯周病・成長不良。タンパク質-エネルギー欠乏: 削痩・筋萎縮・低アルブミン血症・浮腫。ビタミンD/UV-B不足(爬虫類): 代謝性骨疾患・骨軟化。
原因
インコのビタミンA欠乏症は、ビタミンA前駆体に乏しい種子(ヒマワリ・アワ等)偏重の不適切な食餌が原因で、ペレット食やビタミンA豊富な緑黄色野菜の不足により慢性的に発症する。インコ・オウムに極めて多い。
病態生理
インコではビタミンA欠乏により上皮の扁平上皮化生が生じ、口腔・鼻腔・気道・腎の正常な粘液分泌上皮が角化する。口腔内白色プラーク(特に舌根・口蓋)、後鼻孔乳頭の鈍化、副鼻腔炎、尿酸塩沈着を招き、粘膜防御の破綻から細菌・真菌(カンジダ・アスペルギルス)の二次感染を起こしやすくなる。
診断
口腔内検査でチョアナの鈍化(正常な乳頭状構造の消失)・扁平上皮化生を確認。膿瘍形成(チョアナ膿瘍・副鼻腔膿瘍)の有無を視診・触診で評価。食餌歴の詳細な聴取(種子食のみ=ビタミンA著明欠乏)。CBC(有核RBC手動カウント)で白血球増多・ヘテロフィル増多を確認。血液生化学でAST・総蛋白を測定し全身状態を評価。X線で気嚢壁肥厚(二次感染)・腎腫大を評価。皮膚・足底の角質過形成もビタミンA欠乏を示唆。血中ビタミンA濃度測定は鳥類で標準化されておらず、臨床徴候と食餌歴から診断。
治療
インコビタミンA欠乏症: ① 病態—全種子食給餌(オウム目で典型)→ビタミンA欠乏→扁平上皮化生→眼瞼/結膜浮腫、副鼻腔炎、舌下/口腔膿瘍、皮膚過角化、繁殖障害。② 確定: 病歴(種子主体)、臨床症状、舌下生検(扁平上皮化生)、血清VitA。③ ビタミンA: 10,000-25,000 IU/kg IM 1回、1-2週後再投与(過剰投与回避)、経口 1,000-2,000 IU/羽 q週 × 4-8週。④ 食事是正: ペレット主体(Harrison's、ZuPreem等)への漸進切替(4-6週でseed→pellet)、緑黄色野菜(ニンジン、カボチャ、葉野菜)、果物(マンゴー、パパイヤ)添加。⑤ 副鼻腔・口腔病変: 局所洗浄、抗菌薬(エンロフロキサシン 10-15 mg/kg PO/IM q12h)。⑥ 眼科支持: 人工涙液、抗菌点眼。支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。
予防
インコにおけるビタミンA欠乏症の予防は種特異的な栄養要求量に基づく適切な食事提供が基本。商業用総合栄養食の利用(AAFCO基準準拠)、手作り食の場合は獣医栄養学専門医による栄養設計、成長期・妊娠期・泌乳期の特殊要求対応。草食動物(モルモット)のビタミンC、爬虫類のカルシウム/UV-B、猫のタウリン、フェレットの動物性タンパク質など、種特異的要求の理解。サプリメント過剰摂取の回避(特に脂溶性ビタミン)。
予後
食事改善と栄養補充で予後良好。臨床症状は適切な栄養の開始後数週間で改善することが多い。重症例は残存障害を残す場合がある。
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