ダニ寄生症(ワクモ・羽ダニ)
概要
ワクモや羽ダニなどの外部寄生虫による寄生で、掻痒と貧血を引き起こす。
主な症状
原因
寄生虫(線虫・条虫・吸虫・原虫・外部寄生虫)の感染が直接的な原因である。感染経路には経口摂取、経皮侵入、節足動物媒介、中間宿主の捕食など極めて多様な様式がある。過密飼育、衛生管理不良、免疫抑制、定期的予防投薬の未実施が感染リスクを上昇させる。宿主の免疫状態と寄生虫負荷量が臨床症状の発現と重症度を決定する。
病態生理
寄生虫は宿主組織に物理的損傷を与え、栄養を奪取し、免疫応答を修飾する。消化管寄生虫は粘膜損傷・吸血・栄養吸収障害を引き起こす。組織移行期の幼虫は機械的組織破壊と好酸球性炎症を惹起する。寄生虫の分泌排泄産物は宿主免疫をTh2応答に偏向させ、Treg誘導により免疫回避を達成する。大量寄生では貧血・低蛋白血症・腸閉塞などの重篤な合併症が生じる。
治療
外部寄生性ダニ — セキセイインコに感染する複数種: ワクモ(Dermanyssus gallinae)— 吸血性、夜間活動性(日中はケージの割れ目に潜伏);夜間の不穏、貧血、重症時死亡。羽ダニ(Megninia、Dermoglyphus)— 羽毛上に生息、多くは非病原性だが重度寄生で掻痒/羽毛損傷。気嚢ダニ(Sternostoma tracheacolum)— 主にカナリア/フィンチ、セキセイインコにも感染する;呼吸困難。【診断】: 夜間の赤ダニ目視検査(懐中電灯でケージ割れ目確認 — 吸血ダニは赤点として見える)。皮膚/羽毛掻爬とテープ標本。酢酸テープテスト。気嚢ダニにX線。【治療】: イベルメクチン0.2-0.4 mg/kg頸背部基部に外用q7-14日×3-4回(2-3週間の全ダニ生活環をカバー)。代替: イベルメクチン0.2 mg/kg PO/IM q14日×2-3回。セラメクチン23 mg/kg外用スポットオンq28日×2-3回。モキシデクチン0.2 mg/kg外用q14日×3回。気嚢ダニ特異的治療: イベルメクチン0.2 mg/kg SC q7日×3回。カルバリル粉剤は避ける(小鳥で高用量毒性)。ピレスロイド系も避ける(安全域狭い)。【貧血鳥(重度赤ダニ寄生)】: SC/IV輸液(LRS 50 mL/kg)、鉄補充(鉄デキストラン10 mg/kg IM)、PCVモニタリング — PCV<20%で輸血(相同鳥血液10-20 mL/kg IV/IO)。【環境対策(赤ダニでは重要 — ケージ内のオフホスト生息)】: 鳥を移動、ペルメトリン系鳥安全スプレーでケージを徹底噴霧(鳥の周りでのピレスロイドエアロゾルは不可)、割れ目・止まり木基部・巣箱に特に注意。木製止まり木・巣箱交換(割れ目にダニ生息)。全布製アイテムを熱水(>60°C)洗浄。10-14日後に治療反復。重度寄生: 鳥エリア周辺に珪藻土(鳥の上ではない)。新規鳥30日検疫・ダニ検査。参考文献: Harrison GJ & Lightfoot TL (2006); Greve JH (1996); Tully TN et al. (2009).
予防
定期的な予防的駆虫プログラムの実施が最も効果的な予防策である。フィラリア予防薬の通年または季節的投与、ノミ・マダニ予防薬の定期使用、環境中の糞便の速やかな除去、中間宿主との接触制限が重要である。新規導入動物の糞便検査と駆虫処理、飼育環境の衛生管理、過密飼育の回避により寄生虫感染リスクを大幅に低減できる。
予後
適切な駆虫薬治療で予後良好。環境管理なしでは再感染の可能性あり。
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