ヤドクガエルツボカビ症
概要
ヤドクガエル(Dendrobates, Phyllobates, Epipedobates属)におけるツボカビ症。薄い透過性の皮膚のため特に感受性が高く、種固有の治療プロトコルが必要。
主な症状
原因
ツボカビ菌(Bd)遊走子による感染。ヤドクガエルは薄い皮膚と皮膚抗菌ペプチド・皮膚マイクロバイオームへの防御依存のため、最も感受性の高い両生類の一つ。
病態生理
Bd遊走子が角化上皮細胞に感染し、皮膚電解質輸送(Na+/K+ ATPase)を障害。ヤドクガエルの薄い表皮は真菌の急速な侵入を許容。浸透圧不均衡が心停止を引き起こす。
治療
【第一選択 - イトラコナゾール0.0025%(25 mg/L、ゴールドスタンダード)】100 mg/mLイトラコナゾール経口懸濁液(Sporanox)を脱塩素水で1:4000希釈(または10 mg/mL希釈液なら1:200)。浅い浴 5分/日 × 11日、室温(Pessier 2008 - 脆弱なヤドクガエルに最安全用量; 0.01%はヤドクガエルで毒性リスク高)。【注意】高濃度イトラコナゾール(0.01%)は一部ヤドクガエル種(Phyllobates terribilis, Dendrobates auratus)で死亡関連 - 感受性種には0.0025%使用。【代替 - 温熱療法】30-32°C × 10日(Woodhams 2003); 低地種は耐容良好だが熱ストレス・脱水を監視; 高地種(Ranitomeya、Oophaga pumilio高地モルフ)には不適。ボリコナゾール12.5 μg/mLスプレー q24h × 10-18日(Martel 2011)- 高感受性種にはより安全な代替。テルビナフィン0.01%浴 5分/日 × 10日(Bowerman 2010)。【支持療法】ヤドクガエルの薄皮と浸透圧調節障害のため電解質補充が重要 - 抗真菌浴の合間に両生類リンゲル液(NaCl 6.6g + KCl 0.15g + CaCl₂ 0.15g + NaHCO₃ 0.2g/L)浅い浴 15-30分 q6-8h; 治療中は24-27°Cの湿潤熱帯環境維持; カルシウム散布ショウジョウバエとトビムシで給餌; クロラムフェニコール20 mg/L浴 × 14日代替選択(Bishop 2009)。同居個体同時治療; タンク/装飾品をVirkon S 1% × 10分消毒。治療後2週・4週にqPCRで消失確認; 陽性なら再治療。【ヤドクガエル皮膚マイクロバイオーム回復】プロバイオティクスJanthinobacterium lividumで保護効果(Harris 2009); バイオアクティブビバリウム基質(粘土・ミズゴケ・落葉)で有益な皮膚フローラ再確立支持。文献: Pessier 2008, Woodhams 2003, Martel 2011 Med Mycol, Bowerman 2010, Harris 2009 ISME J。
予防
全新規個体を60日間検疫し、受入時と放出前にPCR検査。飼育温度24-27°C維持。飼育容器間の厳格な衛生管理。バイオアクティブビバリウム設計で有益な皮膚マイクロバイオームを維持。
予後
早期発見とイトラコナゾール治療で予後良好(治癒率75-85%程度)。未治療では致死的。一部の種は皮膚抗菌ペプチドによる部分的抵抗性を示す。
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