肝臓血管肉腫
概要
転移と血液腹のリスクが高い肝臓の悪性血管腫瘍です。
主な症状
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臨床徴候
ハリネズミにおける血管肉腫の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
ハリネズミにおける血管肉腫の発生には複数要因が複合的に関与する。遺伝的素因(品種特異的好発性)、慢性炎症の持続、発癌性ウイルス感染(FeLV関連リンパ腫等の特異的例を除く)、化学発癌物質への長期曝露、ホルモン異常(性ホルモン依存性腫瘍)、免疫監視機構の破綻、紫外線・電離放射線曝露が主要因子。加齢に伴うDNA修復能低下と細胞増殖制御異常が促進因子となる。早期発見と病期診断(TNM分類)が予後改善と治療選択の基盤である。
病態生理
ハリネズミにおける血管肉腫の病態生理は正常細胞の悪性転換から始まる。癌遺伝子(c-Myc, Ras等)の活性化と癌抑制遺伝子(p53, Rb等)の不活化により、細胞増殖シグナルの恒常的活性化、アポトーシス回避、血管新生誘導、浸潤・転移能の獲得が段階的に進行する。腫瘍微小環境では免疫逃避機構が構築され、腫瘍関連マクロファージや制御性T細胞が抗腫瘍免疫を抑制する。進行例では悪液質、傍腫瘍症候群(高Ca血症・低血糖等)、全身合併症を引き起こす。
診断
腹部超音波で脾臓・肝臓の腫瘤性病変を検出(低エコー・混合エコーパターン)。腹腔内出血(血腹)の確認として腹部穿刺でPCV>10%の血性液を採取。CBC・血液生化学で再生性貧血・有棘赤血球・血小板減少(DIC合併)を評価。胸部X線で肺転移・心嚢液を確認。FNA細胞診は腫瘍の血管性のため出血リスクが高く、超音波ガイド下で慎重に実施。摘出標本の病理組織検査・免疫染色(CD31・vWF)で確定診断。凝固検査(PT・APTT・フィブリノゲン・D-dimer)でDICを評価
治療
ハリネズミの肝臓血管肉腫: 腫瘍が単一肝葉に限局していればイソフルラン麻酔下での部分肝切除。急性血腹にはIV晶質液・コロイドで緊急安定化。ドキソルビシン(1mg/kg IV 3週毎)の補助化学療法。小型体格のため手術・麻酔リスクが著しく高い。緩和ケア: メロキシカム(0.2mg/kg PO SID)、トラマドール(2-5mg/kg PO BID)。予後不良、肺や他臓器への転移が多い。
予防
ハリネズミにおける血管肉腫の予防には、ホルモン依存性腫瘍に対する早期避妊去勢手術(乳腺腫瘍・前立腺癌・精巣腫瘍・子宮腺癌・肛門腺癌等)が確立された予防策。発癌性物質への曝露回避(タバコの煙・農薬・タール・特定の合成樹脂)、適正体重維持、抗酸化物質を含むバランスの取れた食事、紫外線過剰曝露の回避が予防に寄与する。定期的健康診断(触診・画像診断・血液検査)による早期発見が最も実効性ある予防策。発癌性ウイルス予防(FeLV ワクチン)も重要。
予後
腫瘍の種類、病期、治療反応により異なる。完全切除された局所腫瘍は予後良好。転移性疾患は予後要注意〜不良。
関連する薬品
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