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ハリネズミ (Hedgehog) 感染症 緊急

誤嚥性肺炎

Aspiration Pneumonia / 誤嚥性肺炎

概要

強制給餌時の誤嚥、歯科疾患による嚥下障害、神経疾患(WHS等)に伴う嚥下反射低下、過鎮静下での胃内容物逆流などが原因で食物・水・口腔分泌物が下気道へ吸引されて生じる肺炎です。ハリネズミでは強制給餌の手技不良が最多原因となります。

主な症状

発熱 無気力 鼻汁 呼吸窮迫

原因

下気道への食物・水・口腔内容の偶発的吸引。シリンジ給餌時の手技不良(過剰量・速度過多・頭部過伸展)、歯科疾患(咬合異常・歯根膿瘍)による嚥下障害、WHSなど神経疾患による嚥下反射低下、過鎮静・全身麻酔下での胃内容物逆流が主要な発症契機。

病態生理

誤嚥された胃酸・食物粒子・口腔細菌叢が気管支・細気管支・肺胞を刺激→急性化学性肺炎(化学的損傷)と細菌性肺炎(多くはBordetella, Pasteurella, Pseudomonas, Klebsiella, Staphylococcus, 嫌気性菌)の混合感染を引き起こす。肺胞・気道に浮腫・滲出液・出血が蓄積し、ガス交換障害(V/Qミスマッチ)→低酸素血症。粘膜線毛クリアランス低下により二次感染と肺膿瘍形成のリスクが高まる。誤嚥は重力依存性に右尾葉に好発するが、ハリネズミでは前肺野でも認める。

治療

ハリネズミにおける誤嚥性肺炎の治療:1. 初期評価:胸部X線(DV/LL)で病変の分布・重症度を評価、SpO2測定(<92%は重度低酸素)、CBC・生化学・血液ガス。気管洗浄液または鼻咽頭スワブを培養感受性試験に提出(重症例)。2. 酸素療法:SpO2<92%なら酸素テント(FiO2 40-60%)または鼻カニューレ。重度呼吸不全(呼吸数>80/min、努力性呼吸)はICUで集中管理。3. 経験的抗菌薬(培養結果待ちの間):エンロフロキサシン10-15 mg/kg PO/SC q12-24h(グラム陰性カバー)+アモキシシリン-クラブラン酸12.5-20 mg/kg PO q12h(嫌気性・グラム陽性カバー)。重症例はセフトリアキソン20-50 mg/kg SC q24h+メトロニダゾール15 mg/kg PO q12h(嫌気性)の組み合わせ。培養結果に基づき2-3日後に最適化。治療期間は最低14-21日。4. ネブライゼーション:生理食塩水4-6 mL(5-10分、1日2-3回)で粘液溶解。重症例はサルブタモール(0.5%、0.25 mL/kg、生食5 mLに希釈)またはアセチルシステイン(200 mg、生食5 mLに希釈)併用。5. 鎮咳・気管支拡張:テオフィリン徐放4-10 mg/kg PO q12h、テルブタリン0.01-0.05 mg/kg SC q8-12h(重度気管支痙攣時)。6. 抗炎症:化学性肺炎の急性期にメロキシカム0.1-0.2 mg/kg SC q24h(脱水・腎機能低下なし時のみ)。コルチコステロイドは二次感染リスクから一般に推奨されない。7. 輸液療法:LRS 50-100 mL/kg/日 SC/IV(脱水補正と気道分泌物の希釈)。過剰輸液は肺水腫を悪化させるため慎重に。8. 栄養補助:絶食を避けCritical Care Carnivoreまたはチキンベビーフードをシリンジ給餌(少量頻回、頭部わずかに挙上、ゆっくり)。嚥下障害があれば経鼻胃管も検討。9. 環境調整:温度26-28℃、湿度50-60%、清潔な床材(粉塵を出さないペーパー系)、ストレス軽減。10. モニタリング:48-72時間毎に胸部X線・CBC・体温・体重を再評価。改善が乏しければ気管洗浄液培養と抗菌薬変更を検討。11. 原因除去:強制給餌の手技見直し(速度・量・頭位)、歯科疾患の治療、神経疾患の管理。

予防

予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる

予後

外傷の予後は損傷の重症度と合併症の有無に依存する。軽度外傷は適切な創傷管理で予後良好。重度外傷、多発骨折、脊髄損傷は予後慎重〜不良。早期治療と適切な疼痛管理が回復を促進する。

関連する薬品

💊 アモキシシリン 💊 エンロフロキサシン 💊 メトロニダゾール 💊 メロキシカム 💊 セフトリアキソン 💊 テルブタリン 💊 ロニダゾール 💊 テオフィリン 💊 テルブタリン

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※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
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