甲羅腐敗症
概要
リクガメにおける細菌性の皮膚疾患。甲羅腐敗は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すリクガメの他の疾患を確認できます
臨床徴候
リクガメにおける甲羅腐敗の臨床徴候は罹患組織により多様。IMHA: 黄疸・蒼白・元気消失・呼吸促迫。IMTP: 紫斑・粘膜出血・血便・血尿。多発性関節炎: 移動性跛行・発熱・関節腫脹。天疱瘡: 鱗状/水疱性皮膚病変・粘膜病変・痂皮形成。狼瘡(SLE): 多臓器症状(皮膚・関節・腎・血液)。再燃寛解を繰り返す経過が特徴的。
原因
リクガメの甲羅腐敗(潰瘍性甲羅病, SCUD)は外傷・過湿・不衛生な環境を契機とした、甲羅の細菌(グラム陰性菌)・真菌感染である。咬傷・擦過、過密、汚れた水、低温による免疫低下が誘因となる。
病態生理
リクガメでは甲羅の角質(鱗板)と骨組織に感染が及び、点状・潰瘍状の欠損・悪臭を伴う滲出・鱗板の浮き上がりを生じる。進行すると骨甲板の骨髄炎、さらに血行性に播種して敗血症に至る。早期のデブリードマン・局所抗菌処置・環境改善・全身抗菌薬で治療する。
診断
甲羅の視診で甲板の変色(褐色〜黒色)・軟化・陥凹・異臭・甲板下浸出液を確認。病変部の培養・感受性試験(Pseudomonas、Aeromonas、Citrobacter等のグラム陰性桿菌が多い)。真菌培養(Fusarium等の真菌性甲羅腐敗の鑑別)。プローブで病変深度を評価(表層限局 vs 骨板貫通)。X線で甲羅骨板の骨溶解・骨髄炎を評価。CBC(ヘテロフィル増多→全身性波及)。飼育環境(過湿・不衛生な基材・水質悪化)が根本原因であり環境歴聴取が必須。
治療
【リクガメにおける甲羅腐敗症】 甲羅腐敗症はリクガメにおける正確な臨床評価(病歴、身体検査、CBC・生化学、画像)から治療方針を決定。 基礎疾患の特定→特異的治療+支持療法の組み合わせが原則。 経過モニタリング: 主訴の改善、検査値の変化、QOLを2-4週毎に再評価。 複雑症例はリクガメ専門医(ACZMまたはAVMAエキゾチック分科会等)に紹介を検討。 支持療法(爬虫類): 種別POTZ(preferred optimum temperature zone)維持が免疫機能回復の前提条件。輸液 25-30 mL/kg/日 SC/ICe(ノルモソルR、温熱)、強制給餌(Carnivore Care 等)、メロキシカム 0.2-0.5 mg/kg PO/IM q24-48h(NSAID持続投与時は腎機能をモニタ)。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によってはリクガメの専門医紹介を考慮する。
予防
リクガメにおける甲羅腐敗の確立された予防法はないが、誘因と考えられる因子の管理が重要。過剰な薬剤投与の回避、不要なワクチン接種の回避(コアワクチンは適切に接種)、紫外線過剰曝露回避、感染症の適切な管理。遺伝性素因の品種では繁殖管理(保因者除外)。罹患個体の再燃予防には維持免疫抑制療法と継続的モニタリング。
予後
リクガメにおける甲羅腐敗の予後は罹患臓器・治療反応性・再燃管理により異なる。急性期: 適切な免疫抑制療法で症状制御可能、初期死亡率は疾患により異なる(IMHA 20-50%)。寛解後維持期: 長期免疫抑制療法(プレドニゾロン±追加免疫抑制薬)で寛解維持可能。再燃は治療調整で対応、複数回再燃例は治療抵抗性となる場合あり。二次性合併症(感染・血栓症・薬剤副作用)の管理が長期予後を左右する。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
その他の他の疾患(リクガメ)
VetDictでリクガメの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。