消化管閉塞(便秘)
概要
床材、石、脱水による糞便の硬化などによる消化管の閉塞です。
主な症状
原因
消化器疾患の原因には感染性因子、食事性因子(不適切な食餌・異物摂取)、免疫介在性炎症、腫瘍、機械的閉塞、消化管運動機能障害が含まれる。厳格な草食性の動物種では食餌の急激な変更や繊維質不足が重大な消化管障害を引き起こす。腸内細菌叢の撹乱(ディスバイオーシス)は多くの消化器疾患の増悪に関与する重要因子である。
病態生理
消化器疾患の病態生理は消化管の運動・分泌・吸収・バリア機能の障害に基づく。粘膜バリアの破綻は細菌のtranslocationと全身性炎症を誘発する。腸管運動障害では通過時間の変化が便秘または下痢を引き起こす。膵外分泌不全では消化酵素欠乏により栄養吸収不良が生じる。肝疾患ではBile acid代謝異常・凝固因子産生低下・アンモニア代謝障害が多彩な全身症状をもたらす。
治療
【初期評価】X線(背腹+側面)で消化管内の異物・糞塊・砂礫陰影確認、超音波で腸管壁・蠕動評価、血液検査(脱水・電解質)。【保存療法(部分閉塞・砂砂礫)】温浴(28-32℃、20-30分/日 1-2週間)で水分補給と排便促進、温水浣腸(クロアカ経由 5-10 mL/kg)、輸液療法(乳酸リンゲル液 20-40 mL/kg/日 ICe/SC、爬虫類浸透圧0.9%生理食塩水可)。【粘膜保護・滑剤】ミネラルオイル 1 mL/kg PO 1日(短期使用)、ラクツロース 0.5 mL/kg PO q12-24h、サイリウム(オオバコ種子殻)100-300 mg/kg PO q24h 水分混合(必須)で繊維容積増加と便軟化(Mader Reptile Medicine Surgery 3rd ed)。CPパウダー(サイリウム+プレ/プロバイオティクス配合、caninevet.jp/Equine & Canine Vet Nutrition)等の配合製剤を、水分と十分に混合(3-5倍量の水)し経口・経鼻胃管投与すると、可溶性繊維による便容積増加と腸内細菌叢支援が期待でき、特に砂礫・基質誤食の排出促進に有効(馬の砂疝で2.7倍排砂のエビデンス、Landes JEVS 2008/2020)。必ず温浴・輸液で十分な水分摂取を確保。【消化管運動促進】メトクロプラミド 0.06-1 mg/kg PO/SC q12-24h、シサプリド 1.5 mg/kg PO q12-24h(運動性回復に有効、Kummrow EVE 2010)。【外科適応】48-72時間内科療法不応、完全閉塞、腸管虚血徴候、巨大異物では開腹術(プラストロン側方切開アプローチ)。術後管理: 抗菌薬(セフタジジム 20 mg/kg IM q72h)、温度勾配維持(POTZ範囲)、輸液継続。【再発予防】基質を粒状(ハスク・ペレット)から繊維状(アルファルファ・草等)に変更、または地上給餌マットを使用、適切な水分摂取(温浴週数回)、繊維質豊富な草食(タンポポ・チモシー)、月1-2週間のサイリウム予防投与を推奨。
予防
規則正しい給餌スケジュール、良質で適切な食餌の提供、急激な食餌変更の回避が消化器疾患予防の基本である。異物摂取防止のための環境管理、ストレス軽減、定期的な駆虫が重要である。草食動物では十分な繊維質の確保と新鮮な水の常時提供が消化管運動の維持に不可欠である。プロバイオティクスの使用が腸内細菌叢の安定化に寄与する場合がある。
予後
疾患の重症度、治療開始の早さ、治療反応により異なる。早期の適切な治療介入で一般に予後改善。
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