← トップへ戻る
爬虫類 (Reptile) 環境 緊急

高体温症(熱中症)

Hyperthermia (Heat Stroke) / 高体温症(熱中症)

概要

爬虫類における代謝性の内分泌/代謝疾患。高体温症は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。

主な症状

※ 症状をクリックすると、その症状を示す爬虫類の他の疾患を確認できます

臨床徴候

爬虫類における高体温症の臨床徴候は病態と進行段階により異なる。慢性腎臓病: 多飲多尿・体重減少・食欲不振・嘔吐・口臭・脱水(早期は無症候)。急性腎障害: 無尿/乏尿・嘔吐・元気消失・電解質異常。下部尿路疾患(FLUTD/FIC): 頻尿・排尿困難・血尿・排尿時痛・不適切排尿、雄では尿閉(緊急)。尿路感染: 頻尿・血尿・濁尿・発熱(腎盂腎炎時)。

原因

サーモスタットの故障、ヒートランプの近すぎる設置、不適切な温度勾配(クールゾーンなし)、日陰のない直射日光曝露、暑い車内での輸送、種の許容範囲を超える環境温度による過熱。

病態生理

爬虫類は効果的に発汗やパンティングができない。臨界最高温度を超えるとタンパク質変性、酵素機能障害、細胞死が起こる。影響を受ける臓器は脳(痙攣、昏睡)、消化管(粘膜壊死)、腎臓、心血管系。DICが発生しうる。多臓器不全が急速に続く。

診断

開口呼吸・過度の活動・痙攣・虚脱の臨床評価。クロアカ温測定でPOTZ上限超過を確認。CBC・生化学で臓器障害(AST・CK上昇:横紋筋融解)・DIC徴候を検索。飼育環境のホットスポット温度・サーモスタット動作・直射日光暴露・温度勾配逃避スペースの有無を聴取。重度例では多臓器不全の評価として尿酸・電解質・血液凝固検査を追加する。

治療

爬虫類の高体温症。即座の環境温度低下:種の適温帯(POTZ)の下限の水に浸漬 or 湿らせたタオルで体を覆う。氷水は不可(急激な温度変化は致死的)。輸液:LRS/生理食塩水 10-25 mL/kg SC/ICe。デキサメタゾン(ショック:2 mg/kg IM)。メロキシカム(0.2-0.5 mg/kg SC q24-48h)。爬虫類は変温動物であり外部温度に完全に依存 — ヒーターの故障/サーモスタット不良、直射日光下の放置が主因。POTZ超過後の臓器障害(腎不全、肝障害、DIC)を48時間モニタリング。予防:サーモスタット付きヒーター必須、温度勾配のある飼育環境、温度計2個(ホット/クール側)。Ref: Mader 2006, Divers & Stahl 2019.

予防

爬虫類における高体温症の予防は腎機能の早期スクリーニングと環境管理が中心。定期的健康診断(7歳以上は年1回、10歳以上は半年に1回)でクレアチニン・SDMA・尿比重・尿蛋白・血圧を評価。水分摂取量増加(ウェットフード・循環式給水器)、腎毒性物質(NSAID過量・抗凍液・ユリ・特定抗菌薬)の管理。FLUTD予防: ストレス軽減・低マグネシウム食・複数トイレ提供。歯科ケアによる細菌の腎播種予防。

予後

爬虫類における高体温症の予後は腎機能・尿路病変の重症度と進行速度により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。

関連する薬品

💊 メロキシカム 💊 デキサメタゾン

※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます

環境の他の疾患(爬虫類)

爬虫類の全疾患を見る →

VetDictで爬虫類の鑑別診断を行う

症状チェッカーを使う

関連する疾患

アタデノウイルス感染(爬虫類) (共通4症状) パラミクソウイルス(爬虫類) (共通4症状) イリドウイルス(ラナウイルス)(爬虫類) (共通4症状) 肝ウイルス感染症(爬虫類) (共通4症状) 消化管ウイルス感染(爬虫類) (共通4症状) 呼吸器ウイルス感染(爬虫類) (共通4症状) 皮膚ウイルス感染(爬虫類) (共通4症状) アデノウイルス感染症 (共通3症状)
📋 爬虫類の疾患一覧を見る →
※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。