脂肪腫
概要
インコにおける腫瘍性の皮膚疾患。脂肪腫は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
インコにおける脂肪腫の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
インコにおける腫瘍性の皮膚疾患。脂肪腫は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
病態生理
脂肪腫はインコにおける腫瘍性疾患である。癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、DNA修復機構における遺伝子変異の蓄積により腫瘍性形質転換が生じる。制御不能な細胞増殖により腫瘍が形成され、局所組織への浸潤・破壊の可能性がある。悪性腫瘍はリンパ行性または血行性に転移しうる。高カルシウム血症、悪液質、免疫調節障害などの腫瘍随伴症候群が原発腫瘍に伴い、罹患率に寄与することがある。
診断
皮下の軟性腫瘤を触診で確認し大きさ・可動性・部位を記録。FNA細胞診で成熟脂肪細胞の均一な集簇を確認し悪性脂肪肉腫を除外。血液生化学で総コレステロール・トリグリセリド・胆汁酸を測定し脂質代謝異常を評価。X線で腫瘤の範囲と深部浸潤の有無を確認。食餌歴で高脂肪食(種子食偏重)の関与を特定。甲状腺機能検査を実施。インコ類ではセキセイインコの肥満個体に脂肪腫が好発し、種子食偏重による高脂肪・低繊維の食餌が最大リスク因子。ペレット食移行と体重管理が再発予防に不可欠である。
治療
脂肪腫はセキセイインコで最も多い腫瘍 — 肥満と高脂肪シード食(特にヒマワリ種子主体)と強く関連。腹側胸骨、腹部、尾脂腺(プリーン腺)部に好発。【診断】: 細胞診(FNA)— 透明な油状液体と脂肪細胞で良性脂肪腫を確認。急速増大・硬い硬度・組織浸潤がある場合は常に生検で脂肪肉腫(悪性)を鑑別。黄色腫は肉眼的に類似(黄色腫瘤)だがコレステロール沈着で脂肪組織ではない。【保存的管理(小型・非閉塞性脂肪腫の第一選択)】: 食餌転換(最重要) — ヒマワリ/サフラワー/麻の実を全て除去、低脂肪ペレット(Harrison's Adult Lifetime, Roudybush)に移行。脂肪含有量<10%を目標。新鮮野菜(濃緑葉野菜、ニンジン、ピーマン)を追加。体重減量プログラム: 4-8週で5-10%減量を目標に週1回計量。L-カルニチン250-500 mg/kg PO q24h — 脂肪酸酸化を促進。甲状腺機能低下症が疑われる場合レボチロキシン0.02 mg/kg PO q12h(甲状腺腫+脂肪腫のセキセイインコ — よくある合併)。運動: より大きなケージ、監視下の飛行時間、フォレージング玩具。食餌変更のみで多くの脂肪腫が著明に退縮する。【外科的切除】: 脂肪腫が飛行・歩行・止まり・採食を障害する場合、または>1 cmで増大傾向の場合に適応。イソフルラン麻酔下で切除 — 慎重な止血(セキセイインコの脂肪腫は血管豊富)。全切除検体の病理組織検査で脂肪肉腫を除外。術後: メロキシカム0.5-1 mg/kg PO q12-24h 3-5日間、創部モニタリング。【モニタリング】: 体重と脂肪腫サイズをq4週。血中脂質パネル(コレステロール、中性脂肪)をベースラインとq3ヶ月。食餌改善を維持しなければ再発しやすい。参考: Reavill DR & Dorrestein GM (2010) Vet Clin North Am Exot Anim Pract; Nemetz L (2002) Proc AAV.
予防
インコにおける脂肪腫の予防には、ホルモン依存性腫瘍に対する早期避妊去勢手術(乳腺腫瘍・前立腺癌・精巣腫瘍・子宮腺癌・肛門腺癌等)が確立された予防策。発癌性物質への曝露回避(タバコの煙・農薬・タール・特定の合成樹脂)、適正体重維持、抗酸化物質を含むバランスの取れた食事、紫外線過剰曝露の回避が予防に寄与する。定期的健康診断(触診・画像診断・血液検査)による早期発見が最も実効性ある予防策。発癌性ウイルス予防(FeLV ワクチン)も重要。
予後
境界明瞭な皮下脂肪腫は外科切除で再発<5%・予後良好。セキセイインコの脂肪腫は中高齢メスに多く、ヨウ素不足の甲状腺腫との鑑別必要。低脂肪ペレット食+飛翔運動で進展抑制。
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